夢部屋
□*いもうと
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俺も最初は妹のように思っていた。
でもだんだんお互い成長していくうちに想うようになってしまった。
友達を裏切るつもりはない。
だからと言って、名無しさんを諦めるつもりもない。
怒ってしまった勘右衛門に片手を伸ばした…
「捕まえたッ!」
「きゃぁッ…」
俺が手を伸ばしかけた瞬間、勘右衛門は素早く後ろの名無しさんを引っ張り出した。
「…は?」
名無しさんは兄に抱きしめられ腕の中にいて、呆気にとられる竹谷。
「蝶よ花よと育ててきたのに…兄さんは悲しいよ」
汚されちゃって…と、前から抱きしめながら頬ずりをする。
「もうッ!勘右衛門!!辞めてよねッ」
名無しさんは離れようと押してもみるが勘右衛門は動じない。
「さて、八左ヱ門くん。」
「な、なんだよ…」
「我が妹が欲しければ、この俺を倒してからにしてくれ。」
そう言うと名無しさんを抱き上げ、お姫様抱っこの状態で用具室から出ていく。
「キャァ、降ろしてッ!勘右衛門ってば!」
「な、おまッ…」(ずるいぞ…)
内心羨ましがる竹谷。だが羨ましがってる場合ではない。
「……はちせんぱいぃ…」
可愛いあの子が自分を呼んでいる。
兄だろうと友だろうと関係ない。
「待てッ!勘右衛門!!」
名無しさんを守るのは俺なんだ。
(いつから見ていたのか、絶対吐かせてやる…!!)
***
(はじめまして、名無しさんです。いつも兄がお世話になっております)
(これから頼むよ、八左ヱ門)
(おう!任せろ!関わったら最後までッだ!)
(…きっと似合うと思うんだ)
((…?…))