夢部屋

□*いもうと、2
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「兄さん、このお豆腐綺麗にできたね」
名無しさんが出来立ての真っ白なお豆腐を眺める。

「ああ、うまく出来たと思うんだ。勘右衛門にも食べてもらおうね」
ニコリと笑いあう兄妹。


暫くすると尾浜勘右衛門が食堂にやってきた。
「兵助〜!できた?」

「うん、今できたとこだよ!さぁ座って!今日は名無しさんと一緒に作ったんだ」

今日のは自信作だ!とテーブルに並べる兵助と名無しさん。

(二人並ぶと、ほんとそっくりだな〜)
妹の名無しさんはやや小さめだが、髪の色や目なんかそっくりだ。兵助が女装すると名無しさんと見間違える程。そう思いながら仲のいい兄妹を微笑みながら眺める勘右衛門。

「勘ちゃん、これどうかな?」
名無しさんが小鉢の豆腐を差し出す。新作のやつだ。

「これ美味しいね!
豆腐がいいのか、目の前の名無しさんが可愛すぎてなんでも美味しくさせてるのか…もぐもぐ。
ん〜、わかんないからあーんして食べさせて?」

どんな理由かわからないが、名無しさんと食べるときの勘右衛門はいつもこうである。

「もう、しょうがないなぁ…
はい、あーん」
名無しさんもこの流れに慣れてしまったため豆腐を口元に持っていく。

「あー『はいあーん』」
兵助が横から入り名無しさんより先に勘右衛門の口に豆腐を突っ込む。満面の笑みで。
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