夢部屋
□*まくら
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そこには名無しさんの腹の上に頭を置き、こちょがしている勘右衛門がいた。
「名無しさんのお腹きもちいー。
幸せー」
寝巻きの上から撫でられる。
「やめてってば〜、もう」
「勘右衛門ッ!」
止めに入るハチと、直に触れようと帯に手をかける勘ちゃん。
これは勘ちゃんに完全に遊ばれている。
(お前、いつから起きてたんだッ!)
(名無しさんが起きる前)
(なッ!?お、起きてたなら言えよ!)
(…抜け駆け禁止って皆で決めたよね?)
(ちょっと待って、ごめんって!)
何やら矢羽根飛ばしてますけど、私のことは放置ですか?
名無しさんは二人を他所に起き上がり、戸に手をかける。
「ねぇ、今日は皆で遠くまで行こうよ」
2人に振り返り、私着替えてくると言い部屋をでる名無しさん。
朝日の光を浴びた名無しさんがとても綺麗に見えた。
「「………。」」
「…八左ヱ門」
「…ん?」
「次抜け駆けしたらただじゃ済まないからね」
「……はい」
戸の隙間から差す朝日が眩しく、約束を交わす二人を照らした。