夢部屋
□*いもうと、4
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作法委員会にてフィギュア作りの活動中。
「兄さん、これは?」
「そこ置いといて」
今日は人手が足りないので、綾部喜八郎が一つ下の妹の名無しさんを手伝わせに連れてきたのだ。
顔も髪質も雰囲気も似た2人。
喜八郎にくのいちの忍服を着せただけのようにみえる。
「しかし、本当にそっくりな兄妹だな」
委員長の仙蔵が作業をしながら2人をみる。
2人は顔を見合わせると首を傾げる。
「そうですか?よく言われますけど、中身に至ってはあまり似てませんよ。こいつ何考えてるかわからないし、動かないし、もう何が出来るのかわかりません」
そう言いながら、妹の作業をみてやっている喜八郎。
「兄さんだって、穴掘るだけじゃない」
二人とも言い慣れているのか表情変わらず気にしてない様子。
(中身も似た者同士か…)
仙蔵は仲良さげな兄妹の姿に微笑むと今日の委員会はここまで、と活動を終わらせる指示をだした。
「名無しさん、今日は手伝ってもらって助かった。ありがとう」
仙蔵が名無しさんに礼を言うと、「いつでも呼んで下さい」と返事が返ってきた。表情が変わらない名無しさんなので、どうも気持ちが読みにくい。
仙蔵と名無しさんが少し会話をしただけなのだが、喜八郎がこちらを睨んだように見えた。
「では、失礼しまーす」
と、仙蔵との間を割って名無しさんの手を取り間が抜けた挨拶をしながら連れ出してしまった。
「どうやら、妹思いの兄のようだな」
あの妹じゃ大変そうだな、とやれやれといった様子で仙蔵は呟いた。