夢部屋
□*もしも
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「はいはい、三郎もこっち座って!甘酒も作ったから飲もう」
兵助が隣に三郎を引き摺り皆に甘酒を渡してくれる。
「では、皆揃ったところで」
「来年は私たちも最上級生だ。と、いうことはあと残り1年の学園生活。
惜しみ残らず楽しもう、同級たちよ」
「かんぱーいッ」
三郎の言葉が終わるのを待てないとばかりに率先して勘右衛門が甘酒を勢いよく掲げるのでほぼ零れて降りかかる。
「ちょっと勘右衛門ー!」
「あはははは」
さっきまで冷えてた身体はぽかぽかと温まった。
半年前までは満たされなかった名無しさんの心までも。
男の子も憧れるけれど、やっぱり女の子でよかったとまた握ってくれた八左ヱ門の大きな手をみて思う。
ずっと思っていた。
もっと皆と一緒にいたいって。
その為にはもっと強くならないとついていけないって。
女なんて嫁にいけば忍となんて会うこともない。
だったら私も男だったら友達になれるかもって。
皆に同級仲間だって言ってもらえてから毎日のように一緒にいる。
つい先日、ハチから想いを告げられた。今でも信じられない。
雷蔵には「あとつかえてるから、別れたらすぐ言って」と笑顔で言われ、ハチが怒ってた。
今までの悩みが嘘みたいに
これからも楽しみになってきた名無しさん。
しんしんと雪が振るなか、賑やかな笑い声と楽しそうな声が夜中まで続いていた。