夢部屋
□*青春
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ー まさかこんなことになるとは思ってもいなかった
竹谷八左ヱ門が入学してから、名無しさんと七松小平太と3人でよく遊んでいた。
2人からしてみれば初めての後輩。
彼は生き物好きだし、元気もいっぱいでとても可愛かった。
「七松先輩!名無しさん先輩!」
そう言って駆け寄ってくる。
遊ぶようになったきっかけは何だっただろうか。
多分小平太が虫取りしてたハチに走ってぶつかってからだ。
あの時の衝撃は忘れられない。
人身事故だ。
小平太にひかれたハチが転がっていき、ひどく心配したものだ。
「…大丈夫です」
とは言ってたけど半泣きだった。可哀想に。
その出会いがきっかけで3人で遊ぶこともしばしば。
学年が上がっても変わらずに。
ハチも小平太の体力とかには憧れてたし、いい先輩後輩関係だった。
だんだんと上級生になるにつれ、あんなに可愛かったハチがどんどんかっこよくなってきた。
自分でも信じられないと思う名無しさん。
今ではもう彼に溺れている。
「ハチー!授業終わり?町にでも行こうよ!」
「すいません、名無しさん先輩。これから委員会なので…」
頬を掻きながら答える八左ヱ門。
七松先輩と行っては?と提案をし、やんわり断るも効果なし。
「そーなの?もうハチも委員長代理だもんね。私も手伝ってあげようか?」
と、笑顔一色だ。
手が足りない程なので、手伝いはありがたい。
それに名無しさんに手伝ってもらうのが当たり前になりつつあるのだが、そろそろ終わらせたいと思っている。
名無しさんと少し距離を置きたいのだ。
別に付き合っているわけではない。
だが八左ヱ門にべったりな名無しさんなので、傍からみると公認カップルのようだった。