夢部屋
□*一輪の花
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まだ6年になる半年も前のこと。
季節も秋になり肌寒いときだった。
野外実習ということで、名無しさんと留三郎、伊作、長次、小平太、仙蔵、文次郎と裏山に向かった。
「今日はクジでペアを決めるんだって」
と伊作は説明する。
「それじゃ留三郎と一緒に組めないな」
名無しさんは少し残念そう。
先日、自分が女であることを文次郎にバレてしまったばかり。
これ以上知られないようにしたいものだ。
「お前らは少し離れてもいいんじゃないか?」
と笑う仙蔵。
「何を言うんだ!俺達は2人だとより力を発揮できるからな!」
名無しさんと肩を組む留三郎。
「似てるようで似てない2人だがな!」
と小平太に言われドキリとした。
やっぱり無理が出てきたと思う名無しさん。
だんだんと体格差が出てき始めたし、留三郎みたいな男の人らしい声も出せない。
「違うからいいんだろう。
留三郎が2人もいらねーからな」
文次郎がからかい、喧嘩になる。
いい加減にしろと仙蔵がとめてくれなければ実習にも行けなそうだった。