夢部屋
□*馴れ初め
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「…この学園も変わってないな」
忍術学園の門の前に1人の男が訪れた。
門の扉を叩くと、すぐ開けられ忍たまの男の子が顔をだす。
「お久しぶりです!仙蔵さん」
「お前も元気だったか?大きくなったな」
はい!と元気に挨拶する男の子はまだ1年生。
早速、先生たちのところへ案内しますと仙蔵と歩き出す。
「懐かしいな。お前をみてると、私が忍たまだった頃を思い出す。」
「仙蔵さんも父上と母上と同級でしたよね」
「ああ、お前は文次郎にそっくりだからなんだか昔に戻った気分だ」
彼の頭を撫でる。同級にそっくりな息子をみると、まるで1年生の頃の文次郎を撫でているようで自分だけ大人になった気分だ。
「仙蔵さん、用事が終わったらその時の話聞かせてください!」
「そうだな、すぐ終わるからちょっと待っていてくれ」
そう声をかけると、頭がとれそうなほど勢いよく頷いていた。
別れた後、ギンギーンとどこかで聞いたことある台詞につい振り向く。走り去っていく後ろ姿は裏二つである。
「子供にまで教えているのか、あいつは」
懐かしさと家でも息子に修行している彼の姿が思い浮かび笑が零れた。
学園の先生たちに用事を済ませると、彼を探しに中庭を歩く。
途中仕掛けなどがあるが避けて歩いた。
きっと上級生だろう。
綾部が掘った落とし穴もよくあったなと、委員会の後輩達も思い出してしまう。
ー 皆、元気だろうか。
「仙蔵さん!部屋で話しましょう!」
思い出にふけりすぎたせいで少々驚いたが、いつでも冷静なのは昔から変わらない仙蔵である。
「では、案内してくれ」
1年生の長屋に着くと、部屋に案内された。同室のやつは出払っているようだった。
「仙蔵さんと父上は同室だったんですよね?」
正座して期待したように輝かせた目でみていた。
「こうしてみると、名無しさんにも似ているとこがあるんだな。…そうだな、今日はお前の父上と母上の馴れ初めでも教えてやろう。
どうせ文次郎は言っていないだろう」
「はい!聞きたいです!!」
ドキドキしている彼らの息子。それをみて仙蔵はクスリと笑い話し始めた。