夢部屋

□*アネモネ。
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雲のないすっきりとした青空。


学園からは下級生たちの楽しそうな声が聞こえくる。


久しぶりに彼と私の部屋で過ごす。
二人っきりになったのはどのくらいなことだろう。


上級生にもなって実習も増えたし、委員会活動もあって忙しかった。



でも、会えない理由はそれだけじゃなかった。
最近はお互い少し距離を置くようになっていた


今までなら小平太と二人っきりになるなんて幸せで嬉しい気持ちでいっぱいだった


(……ずっと一緒にいたい)



だけど気づいてきてしまったのだ。



彼が私から離れていこうとしていることに

「……名無しさん。」彼はこちらを向くことなく私の名をよんだ。

名を呼ばれただけなのに、空気が重く感じる

(お願い。……言わないで。)

「名無しさん、私たちのこれからのことなんだが。」
小平太は言い難そうに、だがどこか決心しているように青空を眺めながら話しはじめた。

「……」

「名無しさん?」

無言の私に顔を向ける小平太。

私は彼の顔も見れずに下を向いたままだ。

「そのままでいい。聞いていてくれ。」また青空を見ながら話はじめる。

「私はお前と今の関係を続けることができなくなった。
すまない、今日で終わりにしよう。ここへももう来ないから……」

ズキンと胸がいたむ。

(……やめて。……聞きたくなんてないのに)

彼は話終えると私の方に体勢を向き直し、まだ何も言わない私をみて一息つくと立ち上がろうとした。


「ねぇ、小平太。…あの子なの?」


「え?」

突然話だした私に、小平太は立ち上がるのを止め座りなおす。


「あの子のこと、好きになった?
それとも私のこと嫌いになったの?両方?」

問い詰めたら嫌われてしまう…そんな気がして、できるだけゆっくり落ち着いてるように。でも今の私の顔は切羽詰まったようなそんな顔だろう。


「違う。」
「……嫌いになったんじゃない。」

今度は小平太が黙ってしまった。


「あ〜…うん。そうじゃないんだが…私の気持ちが変わってしまったんだ。」

「ごめんな、名無しさん。私以外のやつと幸せになってくれ!」


そう言うと、彼は早々と立ち上がり委員会があるからと部屋を出て行ってしまった。

部屋に残された私はただただ開け離れた戸の方を呆然と眺める。

「……ぅッ。……こ、へいたぁッ」

だんだんと涙が込み上げてくる。
私は泣いた。

最後がこんなのだなんて。
あんなに好きだったのに。
なんで?どうして。


もう戻れないの?


行かないで、小平太。


『名無しさん!!』
遠くからでも呼んでくれた私の名前。
『名無しさん、好きだ』
真剣な時も、無邪気な笑顔でも、あのクソ力で抱きしめてくれた。


愛しい人との思い出が涙と共に溢れだす



ずっと一緒にいてくれると思っていたのに


あの子がくるまでは。
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