夢部屋
□*アネモネ。2
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風呂場にはありがたい事に誰も居なかった。
名無しさんはホッとして、ゆっくり湯船に浸かった。
ぼーっとしてしまうと、小平太のことを思い出してしまいそうでバシャバシャと顔にお湯をかけた。
「……今度の実習、なんだっけかなぁ」
紛らわそうと独り言を呟いてみる。
「あれ?誰かいます?」
「!?」
ガラガラ…と扉を開けてきた、くのいちであろう女の子が声をかけてきた。
「あ、こんばんは!失礼します」
そういうと女の子は風呂場に入ってきた
「あの……?」
会いたくなかった。まさか来るとは考えてもいなかった。
私は驚いて声も出ず、その姿に不思議に思った彼女は心配したように声をかけてきた。
「あの、どうされました?」
彼女は首を傾げている。
(彼はこの仕草さえ可愛いと思うのだろうか)
私の中に、何かドロドロした黒いものが現れた気がした。