夢部屋
□*捕まえられない
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だんだんと暗くなってきた。
(どこだろ…ここ)
途中、皆を見失い迷子になってしまった名無しさん。探しているうちに森から開けたところに出た。寝転びながら空を見上げている。
(あー…先生や友達たちに怒られるかも。明日までには帰れるかな?朝小平太起こしに行きたいし…)
そんなことを思っていると、なんだか寂しくなってきた。きっと暗くなってきたせいだ。
「見つけた。」
目の前が真っ暗になった、と思えば小平太が覆いかぶさっていた。
「小平太!?…あ、探しに来てくれたの?」
嬉しいあまりに頬が緩む。
「ああ。そうだ」
反対に冷たい口調の小平太。
「…ごめんね。」
いつもと違う小平太に怖気付いてしまう。彼は怒っているのだろう。
「心配もしたんだ」
表情や口調は変えないが、いつもの小平太と違う。
「うん。ごめんね、ありがとう」
責められているのだろうが、いまだ覆いかぶさっている小平太にときめいてしまう私は、よっぽど空気が読めない馬鹿なんだろう。
「ついてこいと言ったのに。…デート、諦めたのか?」
怒っているのか読み取れない。
「諦めてないよ。体力不足でごめんね。もっと小平太に釣り合うように頑張るから。…だから、またチャレンジさせて。」
そう言うと名無しさんは、小平太の頬に片手を添える。
「私は立派な忍者になりたい。だから、お前といるとわたしがお前のものになってしまい、思い描いていた夢も忘れてしまいそうになる。それは…嫌なのだ」
小平太は今までみたことない切ないような顔をしていた。
「だから名無しさん、お前がわたしのものになってくれ。」
なんとも子供のような言い方をする。
「…ふふふ、小平太。私はとっくにあなたのものよ。だから、ついてこいと言われれば追うわ。でも、小平太のものになるんだから
…大事にしてね?」
「ああ、わかっている」
小平太は名無しさんに誓うというように口付けをした。