夢部屋
□*いもうと
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「「!!?」」
素早く名無しさんを背中に隠す竹谷。
「か、か、勘右衛門ッ」
竹谷は赤面し、うろたえる。
他人に気づかなかったどころではない。よりにもよって、何故こいつが。
そう考えている間も竹谷の背中を覗こうとする勘右衛門。壁と竹谷に挟まれた名無しさんは身動きがとれない。
「い、いつから!?」
「それはこちらのセリフだ」
ずいっと竹谷の顔に近づき睨みつける。
「まさか八左ヱ門が名無しさんに手を出すなんて思わなかった!」
勘右衛門は腕を組みぷいっと顔を横にむけて、怒ってしまった。
「あ、…勘右衛門…」
急に申し訳ない気持ちになった。先ほどまで赤面してた顔は冷めてしまい竹谷は眉をさげる。
勘右衛門が名無しさんを大事にしていた事は知っていた。
入学して友達になってから妹の話は聞いていたのだ。
(今年の新入生に妹が入ってくるんだ)
(妹の名無しさんだ。可愛いだろう)
(八左ヱ門、名無しさんも一緒に遊んでもいいだろう?)
妹のことになると勘右衛門はいつも笑っていた。