夢部屋
□*いもうと、2
2ページ/3ページ
「………もぐもぐ……ごくん。」
勘右衛門はしかめっ面で豆腐を飲み込む。
「なんで、なんでいつも兵助は俺と名無しさんの間を邪魔するんだ!?」
兄の兵助にこのやり取りを毎回邪魔されてしまうが、懲りずに挑戦してきた。
そして兵助はというと、名無しさんが勘右衛門に食べさせようとしていたものを食べてしまうのだ。
「でも、美味しかっただろう?」
「名無しさんと俺の自信作だから」
答えにもなっていないし、妹の腰を抱きくっつくのを目の前でやられて腹立つ。わざとやってんだろ。
「名無しさんが食べさせてくれないなら、もう兵助が作った豆腐なんて食べないッ」
ぷいっと拗ねる勘右衛門。
「勘ちゃん…ごめんね、兄さんは勘ちゃんにお豆腐を食べてもらいたかっただけなの」
しゅんとして謝る名無しさん。
なんて兄思いな妹だろう。
可愛い名無しさんは兄に騙されているだけだ。でもこんな顔されて名無しさんに言われれば許すしかない。
きっとこいつもそれがわかっているんだ。