夢部屋
□*あさやけ
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「名無しさん、ついたぞ」
「私まで抱えて走ったのに、疲れてなさそうね。さすがだわ」
そう褒めると、もっと褒めてくれ!と飛びつかれてしまいバランス崩して後ろに倒れてしまった。
倒れるときも小平太は頭も抑えてくれるから全然痛みなどない。
倒れてしまったせいで名無しさんの上に馬乗りになっている状態の小平太の顔はいつもより真剣で、名無しさんを捉えている瞳から目を離すことができない。
「名無しさん、私の名無しさん…」
頬を撫でながら聞き逃しそうな声で呟くと、一つ口吸いをした。
名無しさんも小平太の頬を撫でる。そうするといつもの笑顔になり、身体をおこした。
「もうすぐだな。」
名無しさんの隣にたち、遠くの空をみつめる。
だんだんと空が漆黒から赤色がさしてくる。
眺める小平太にも色がさし藍色と赤色が輝いてみえた。
(…綺麗ね…)
「今のお前、すごく美しいな」
一瞬考えてしまったが、すぐくすくすと笑う名無しさん。
「小平太、私も今あなたをみて同じことを思っていたわ」
「気が合うな」
やっぱりお似合いだなー私たち、なんて言いながら顔を合わせて笑う二人。
「この景色を、私は名無しさんとずっと観ていきたいんだ」
「あらやっぱり気が合うのね。私もよ、小平太。」
輝き始めた朝焼けをみて二人は誓った。
この先も共にいようと。