夢部屋
□*もしも
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終了後。
「引き分けか〜、残念…」
「でも、三郎と八左ヱ門のペアに引き分けならいい方じゃない?」
座り込み項垂れる名無しさんだったが、雷蔵の言う通り負けないだけよかったかもと思い直す。
「お前たちの作戦はよかったけどな」
三郎が手を差し伸べてくれたので、礼を述べて手を取り立ち上がる。
汚れた装束を手で払っていると、三郎とペアの八左ヱ門もこちらに寄ってきた。
「もう少しで名無しさんにやられるとこだったー」
疲れたと腕を上げて身体を伸ばしている八左ヱ門はどこか嬉しそうだった。
「…よくもぶん投げてくれたわね」
じりじりと八左ヱ門に詰め寄る名無しさん。
「ごめんって!俺も必死だったし!」
手を合わせ謝っていたが最後は、やっぱり凄かったなと名無しさんの頭をガシガシと撫でた。
「私もハチみたいに力欲しいなー」
そう呟くと皆から批判くらった。
「筋肉ついた女など女としてみれん」
「せっかく名無しさんちゃん可愛いんだから勿体ない」
「女として生まれたんだからもっと女を楽しんだほうがいい」
そんなことまで口々に言われた。
「ハチなんて、女になりたくてもなれないんだぞ!」
とからかう三郎に皆笑っている。
「それ女装のときの話だろ!なれたから!」
「再試のくせに」
赤面する八左ヱ門とからかういつもの伍年生。その後ろで一緒に笑っていた名無しさんだったが、どこか考え事をしているようだった。