夢部屋
□*恋話
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「俺でよかったら、聞こうか?」
八左ヱ門は遠慮がちに頬を掻きながら聞いてきた。
さすが関わったら最後までの生物委員会。こんな私の面倒までみてくれるのかと喜んだが、内容が内容だけに恥ずかしい。
でもせっかくの2人の時間を有効に使わないと、と頭を巡らせる。
「やっぱり俺じゃ…」
「お願いします!!」
勢いで頼んでしまい、彼の手も握ってしまうというハプニング付き。
慌てて手を離したのをみても彼は笑ってくれた。
初めて彼の手を握ったということで心臓がバクバクしているが、聞こえてないだろうかと心配になる。
名無しさんがハチの手大きかったとか、手汗大丈夫かなとかそんなことを考えていたら、教室の戸が閉められた。
「こっちに座れよ」
と机を挟んで向かい合わせに座る。
まさかこんなことになるとは思ってもいなかった為に緊張してしまう。
何を言おうともじもじしていると、八左ヱ門から口をあける。
「勘右衛門に何相談してたの?好きな人とか?」
その質問にこくりと頷いてみた。
「…名無しさんは告白するの?その人に」
今度はふるふると首を横に振る。
「恥ずかしいし、自信ないから。一緒にいられたらそれでいいかなって今は思ってるの」
照れながら話す名無しさんに、机に頬杖をついて聞く八左ヱ門。
「へー。その人ってどんな人?」
「うーん、面倒見がよくて、優しくて…かっこいい人かな」
なんだか相談ってより問いただされてると感じながらも、この近い距離が幸せに感じる。
私だけのことを考えているっていうのがたまらない。
八左ヱ門もうーん、と唸りながら次の質問を考えて一つ絞り出した。