夢部屋2

□*Web拍手
2ページ/7ページ


[綾部喜八郎]


「…喜八郎、委員会は?」

「そろそろ行かなきゃいけないんだけど。

君が返事をくれないから」


校舎裏の倉庫の掃除が終わったので戻ろうと戸を開けたら喜八郎が少し離れて立っていた。
いつものように愛しの踏子ちゃんを持って。

この距離がおかしい。

どう考えても喜八郎の前には落とし穴があるだろう

「早くしないと遅刻しちゃうんだよなぁ」

わかっているなら早く行け。

「怒られちゃうと立花先輩にもデートの許可取りにくくなるから、さっさと行くって言ってよ」

文句つけたいのはこっちだ、ばかはちろー。

「…もう、わかったよ。デート、1回だけしてあげるからちゃんと委員会行きなよ」

きっと遅れた理由が私を誘ってた、なんて聞いたら委員長の兄は呆れるだろう。

ふふと笑った喜八郎は踏み鋤を地面にトン、とたてると土がドサリと落ちて落し穴が現れた。倉庫から出れないくらい随分と広いことには驚いたが。

すると、鋤を橋渡しにしてくれ手を差し出してくれる。

踏子ちゃんに乗っていいのかと戸惑ったが、喜八郎は微笑んでいた。

その手に吸い込まれるように、手を伸ばす。

繋がれた喜八郎の手が大きかったこと、みつめてくる目に不覚にもドキリとした。

結局その後は委員会にも遅れたようだけど、何やら嬉しそうで反省していないと私まで兄に呼び出され怒られた。

このあほはちろーめ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ