夢部屋2

□*Web拍手
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[食満留三郎]

ザッザッ…

また綾部喜八郎による落し穴が掘られていたので埋めに行こうと向かったところあいつの妹がいた。

「ご苦労さん。今日も随分と掘られたもんだな」

後ろから声をかけるとこちらに振り向き申し訳なさそうに笑った。

「食満先輩、すみません。また兄がご迷惑を…」

「いや、いいんだこのくらい」


いつからだったか、穴埋めが終わった後に2人で談話するようになった。

これがちょっと楽しみになっている。

兄に顔はそっくりだが控えめな性格と笑顔が可愛らしい。

「食満先輩、これどうぞ」

私が作ったものですが、と菓子をくれた。

「ありがとな、いただきます」

とは言ったものの少し戸惑う。
こんな可愛い笑顔で嬉しそうに渡してくれるが、たまに痺れ薬などを盛ってくるのだ。
毎回なら警戒するがたまにというのが惑わされる。

「今日はなにも入ってないですよ」
と柔らかい口振りで言う彼女が茶目っ気があって可愛いと思うあたり俺はもうはまっているのかもしれない。

何度でも思うがこいつは可愛い。こいつは。


翌日、俺は無理やり綾部に落し穴に落とされ土をかけられ埋められそうになった。

心配そうに覗く彼女と対象に睨みつける兄。


喜八郎との戦いは穴埋めだけじゃ終わらなそうだと確信した。
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