夢部屋2
□*Web拍手
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[善法寺伊作]
部屋で薬草の片付けをしているとトントンと戸を軽く叩く音がした。
どうぞ、と声をかけるとゆっくり戸が開きひょこりと留三郎の妹が顔を出した。
「伊作先輩こんにちは。兄さんまだ戻ってきてないですか?」
「すぐ来るんじゃないかな。中入って待ってて」
留三郎の妹はよく部屋に遊びにきていたので、慣れたように部屋へ通す。
「ごめんね、ごちゃごちゃして。いろんな薬草が手に入ったから試していたんだけど、片付けるのを放ったらかしにしちゃってて…」
「私も手伝います」
兄さんもいつも手伝っているのかな?と思いながら薬草をまとめる。
「いつもありがとう。君たち兄妹には助けられてばかりだよ」
とにこりと笑う伊作につられて笑う。
2人で片付けながら、普段の留三郎の話をした。彼を褒めると妹としても嬉しいのか照れ笑いしていて可愛らしい。
「ほんと君は兄さん思いでいい子だね」
また恥ずかしそうに微笑む。
そんな彼女を見つめていると、留三郎が帰ってきた。
「「あ、おかえり」」
「ああ…ただいま」
2人の空気に戸惑う留三郎。
「ねえ、留三郎!お前の妹を僕にくれないかな?
同室だろ」
優しそうな笑顔で最後に黒い一面が垣間見れたきがした。
妹とはというと顔を手で隠しながら赤らめている。
状況が読み込めない留三郎だったが、
(…同室のその使い方は間違っているのでは?)
それだけは確信できた。