それがあなたの夢ならば

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「そうして約束した俺は早速お隣に引っ越して来て、君に出会ったってわけ」

そう言いながらフラン兄はウインクをする。
私の預かり知らぬところで、そんな話になっていたとは……。
でも、その約束ならそんなに前からここに越してくる必要はなかったはずなのに。

「うん、何が言いたいのかは大体分かるよ。俺がここに越してくるのが早かったのは、本当はもっと前に入学する予定だったからなんだ。引越しだけは先に決まっていたからね、そのまま引越してきたんだ」

なるほど、そういうことなら分かる。
引越しを取り消さなかったのは、多分フラン兄からイヴァンへの優しさなのだろう。

「だけど、星花ちゃんはまだまだ幼かったし、ついでに他の奴らも後から入学することが分かったから、事情を話して合わせて入学することにしたんだ。案外みんなちゃんと合わせてくれて、お兄さん感激しちゃった」

ふふっ、と微笑む彼は懐かしむような目をしている。
ということは、みんな私に合わせて入学してくれたということか……。
でも、これは私のためでは無い。そもそも約束したのは、フラン兄と──。
──そう、イヴァンなのだ。

彼は、あの時確かに言った。
『友達が欲しい』と。
彼は知っていたのだろうか。知っていて、気がついていないのだろうか。
初めから彼の、イヴァンの身の回りにはこんなにも……。

「友達、沢山いるんじゃん……」

私はそう呟くと、どういう訳か心がひどく締め付けられた。


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