それがあなたの夢ならば

□3
1ページ/1ページ

長いようで短い(というより補習に追われて短く感じた)夏休みも終わり、遂に二学期に突入した。

「星花ー!朝よー!」

お母さんが下の階から私を呼んでいる。
私は着替えを済ませ、まだ眠い目を擦りながら階段を降りてリビングへ入った。

「うげ、もうこんな時間か…!」

本来の投稿時間は8時半なのだが、なんと時計がさしていたのは8時10分。
これはまずい。
家から学校まで15分かかるというのに呑気に朝食などとっている場合ではない。

「やばいやばいやばい!!遅刻する!!」

綺麗な白い皿に乗ったバタートーストを1枚口に押し込み、水道から水を持ってきて一気に流し込んだ。
少し苦しかったが、なんとか飲み込むと即座にローファーを履いた。

「行ってきまーす!!」

一言そう叫ぶと学校へと駆け出した。

曲がり角、私は急いで駆け抜けようとした…が。
ドンッ

「いったぁ…」
「大丈夫?」

なんだなんだ、この良くある少女漫画的な展開は。
少しの期待を胸に顔を上げるとそこにはすっかり見慣れた彼の姿が見えた。

「怪我してなさそうで良かった。おはよう、星花ちゃん」

って、イヴァンかよ…。
なんて、とても失礼なことを思った。

「はっ、いけない。こんなことしてる場合じゃない、遅刻する!!」
「え?遅刻?」

イヴァンのきょとんとした顔に私はとある事をうっすらと思い出した。

それは昨日の夜のこと。

「お母さーん、明日さ遅刻したくないから30分くらい時計早めてくれない?」

そうだった。よく遅刻しかけるので、そんな事を頼んで家にある時計全て30分早めてあったんだ。
確かに結果的には良かったんだが…。
私はなんだか恥ずかしくなり段々顔が熱くなっていった。

その事をイヴァンに話すとふふっと笑い、

「星花ちゃんてばおっちょこちょいだねぇ」

と笑われてしまった。

そんなことを言われますます顔が熱くなる。

恥ずかしさでぷいっとそっぽを向き、

「もういいでしょ!早く行こう!」

と言ってづかづか歩いていった。

その後でまだ笑っていたイヴァンが最後に少し微笑んで後ろから

「そうだね、早く行こうか」

と言い着いてきてくれた。

朝っぱらからとんだ恥をかいたものだと過去の私とそれを教えてくれなかったお母さんを少し恨みながらも学校を目指し2人で世間話をしながら歩いて行った。


次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ