それがあなたの夢ならば
□4
1ページ/5ページ
学校に着くとまだまだ時間に余裕があったので、イヴァンのいるA組へと向かった。
まだ人は少ないが、イヴァン以外の生徒は皆楽しそうに話をしている。
それを見て本当に友達がいないんだと実感したが、それよりもと私は教室へ入りイヴァンの席を探す。
彼は窓際の一番後ろで頬杖をついて外を眺めていた。
何を見ているかは知らないがここは3階なのであたりの景色がそれなりに見える、と思う。
大して綺麗な景色でもないと思うが。
彼の席へ近づき、
「暇だから遊びに来たよー」
と話しかけてみる。
すると、周りの生徒が心底驚いたという顔でこちらを見てきた。
そんなに話しかけられることが無いのか。やはりイヴァンはいつも1人なんだ。
何となく心が痛んだ。
当の本人はふわっとしたいつもの笑顔をこちらに向けてくれていた。
「うふふ、学校でも話しかけてくれるなんて嬉しいなぁ。でも、他のお友達はいいの?」
少し心配そうな顔で聞かれた。
そんな彼を安心させようと私は答える。
「大丈夫だよ、他の子達あたしと似たような子ばっかりで。だからみんなギリギリに来るんだよね」
あはは、と笑いながら言う。
するとイヴァンもつられたのか、うふふと笑ってくれた。
そういえば、と思い周りをちらっと見るともうその場にいた皆は思い思いの事をしていて、私たちのことはもう気にしていないようだ。
それにホッとし、私はイヴァンにもう1度目を向け直す。
「ねぇ、何見てたの?」
「ん?ん〜…。人、かな」
「人?」
「うん、人。他にも友達になってくれる人がいるのかな〜って。」
そうか、イヴァンは少し希望を持ってくれたのかもしれない。
その事が心から嬉しかった。
「そっか。きっとできるよ!」
「本当?」
「もちろん」
とても嬉しそうに笑っている顔を見て私はとても安心した。
少しは、変わったかな
と思っていると、
キーンコーンカーンコーン
と、HRまであと5分を告げるの鐘が鳴った。
「じゃあね!」
私がそう言うと、
イヴァンは少し寂しそうに
「じゃあね」
と言った。
その言葉を聞き、私は自分の教室へと向かった。