それがあなたの夢ならば
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「イヴァーン!帰るよー!!」
朝のこともあり少し気まずくも思ったが、それでも私は彼と友達になると決めた。その思いは曲げるわけにはいかない。
それに、イヴァンは自分が記憶を失っているだなんて気がついていない。
「うん……」
あれ、少しイヴァンに元気がない?
そう思ったので、すぐ聞いた。
友達として。
「ねぇ、どうかしたの?」
「えっ?」
イヴァンは驚いた顔をしていた。
「いやさ、元気ないように見えたから。何もないならべつにいいけどさ」
「うん、何も無いよ」
イヴァンは少し戸惑ったように笑った。
これ以上聞かない方がいいかと思い、私はこの話をやめた。
しばらく他愛のない話をしながら歩いていくと、ちょうど別れ道にたどり着いた。
「じゃあね、イヴァン」
私がそう言うと、イヴァンも、
「じゃあね、星花ちゃん」
と返してくれた。
そして私たちは、それぞれの家に向かった。
家に向かう途中、フランシスと会った。
「あ、フラン兄!」
「おー、星花ちゃん。今帰り?」
「うん。今友達と別れたとこ」
そう言うと、何故かフランシスは嬉しそうにしていた。
「やった!じゃあ今日は久しぶりに星花ちゃんと帰れるね!」
「なんだろう、気持ち悪いよフラン兄……」
「そんな事言わないでぇー。お兄さん傷ついちゃう……」
ショボンとしたフランシスを置いて私は1人早足で歩く。
そうすると、後ろから
「待ってぇー!」
と言いながら追いかけてくるフランシス。
仕方が無いので待った。
「あのね、星花ちゃんに聞かなきゃいけないことがあるんだけど」
フランシスは目の前で立ち止まると、珍しく真剣な表情を浮かべていた。
一体なんだろう。
「イヴァンと、友達なの?」
「えっ!」
突然のことに驚く私。
イヴァンのことをフラン兄まで……。
本当に何なんだろうか。
「そう、だけど」
私は戸惑いを隠せずに言った。
今日はよくイヴァンの話題を聞く。
また何かあるのだろうか……。
「そう。まぁ、聞きたかったのはそれだけなんだけどね」
なんだ、と安心した。
また何かよからぬ事を聞かされるのかと思った。
「さて、早く帰ろうか!」
そう言うと、フランシスはさっきと逆に私を置いていったので、私は慌ててフランシスを追いかけた。