それがあなたの夢ならば
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真っ白い雪の世界。
「……ちゃん、大好きだよ!」
そう言うと、目の前の少女は照れたように笑った。顔は見えないが、なぜかそう思った。
「私も大好きだよ!」
そう返してくれる彼女は本当に可愛らしかった。見えないのにも関わらず。
僕の顔は自然と熱くなってくる。
しかし、この目の前の子は一体誰だっただろうか。
思い出せない。
顔をよく見ようとしても、白く霞んでいるし、名前を呼んでも砂嵐がかかったように自分の声が聞こえない。
ザザーッと声が聞こえると、目の前が真っ暗になった。
その闇の中にその少女はいた。
だんだん闇に飲み込まれていくその少女を助けようと必死に追いかけるが、一向に辿り着かずに飲み込まれてしまった。
そこで目が覚めた。
身体中冷や汗をかいている。
目には涙が浮かんでいた。
でも、あの子は本当に誰だろう。
分からないものは仕方が無いと首を振り、僕は支度を始めた。