それがあなたの夢ならば
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メラメラと燃える火。
まず見えたのはそれだった。
「イヴァン、菊、どうして……」
ボロボロの彼らの背中が視界に入る。
衣服は所々破れ、そこからは血が滲んでいるようで赤く染まっていた。
「星花ちゃん、僕は君と仲良くしたかっただけなんだ。だから、気にしないで。僕達のことは君には本当は関係ないんだから」
「加藤さん、今は逃げてください。ここは私達に任せてください」
今、2人はイヴァンや菊と言った一人という存在ではなく、『国』としてここに立っているんだ。
そう思うと、なぜだか涙がこみ上げてきた。
なぜ、2人なんだ。
私じゃだめなのか。
私じゃ変われないのか。
そして、対する向こう側に見えたのは……。
霞む視界では、顔など見れなかった。
だけど、ただただ恐ろしい、近くにいるというだけで動けなくなるほどの殺気だけは感じ取っていた。
これほどまでの殺気は初めて感じた。
目の前の2人は、どうなのだろう。
こんなの日常茶飯事なのかもしれない。
私にはやはり分からないことしかなかった。
理解しろという方が無理な話だろう。
……なぜ、人はこんなにも争うのだろう。
気づくと、声を上げて泣いていた。