イベント系

□約束
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「今年もぼっちかー、クリスマスとか滅べばいいのになー」

毎年恒例のぼやきを残し、私は玄関のドアノブを回した。
なぜ、わざわざこの日に限って買い物をしに行かなければならないんだ。

年の離れた妹はまだ中二でプレゼントがギリギリ貰える歳だからいい。けど、私はどうだ。私は20歳を超えてしまった社会人、つまりは大人だ。
大人にクリスマスなど関係ない。恋人がいない限りは。
そして、私にはお分かりの通り恋人などいない。
だから毎年仕事を入れているはずなのに、今年はなぜか休みにされていた。

少し歩いただけなのに、もう何人の仲睦まじい恋人達を見たことか。
ため息をもらすと、白い息がでた。
今日も寒いな。
登っていく息を眺めて思いながら、イルミネーションが輝き始めた街を歩く。寒さに身を震わせながら向かった先は、家からそう遠くもないスーパー。
自動ドアが開くと、中から暖かく柔らかい風が少しだけ吹いてきた。
私は半ば駆けるようにして中へと足を踏み入れた。

「えーっと、確か必要なのは……」
メモに目を通しながら家で開く小さなパーティで出すご馳走の材料をカゴに入れていった。

会計を終え店を後にすると、再び冷えきった街を歩く。
そして、ふと思いついた。

「このまま家に帰るのもなんだし、寂しさも紛れるかも」
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