星海の夢
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夢ノ咲学院、夜の屋上。
月の綺麗な今宵は、それを見る者を傷つけんとするかのような冷たくするどい風が吹きすさぶ。
その周りで煌めく星々を眺めながら、とある人を待つ。
しばらくすることもないので、星座を作るように星と星を指でなぞっていると、背後で扉の開く音がした。
「突然呼び出してすまんのう、漣君。今日は少し話すことがあるのじゃ」
僕の所属するユニット、UNDEADの長であり夜闇を統べる魔王こと朔間零先輩が現れた。
その姿に軽く会釈をすると、首をかしげた。
「ならばいつも通り軽音部の部室に呼び出せばよかったのでは?」
朔間先輩は軽くため息をつく。
その息は白くなり、そして黒い空へと溶けていく。
「あまり人には話せぬのじゃよ。心当たりくらいあるじゃろう? 他ならぬおぬしのことなのじゃからな」
僕のこと?
ますます心当たりが見つからない。
「分からぬか。では、単刀直入に聞かせてもらうとするかのう」
すると、朔間先輩は僕を逃がさぬように目で捉え、そしてそれは何かを確認するかのように上から下までじっくりと見られる。
そして、扉の前から徐々にゆっくりと、獲物を狙う獣のごとくこちらへと近づいてくる。