イベント系

□指輪
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家の中は暖炉のような……、確かこれはペチカだったか。それが赤い火を灯していて、お陰で部屋は外とは比べ物にならないくらいに暖かい。
その部屋の中央にあるテーブルには、暖かい飲み物が用意してある。あの人たちが用意したのだろう。そこに、お互い向き合うように椅子に座った。
そして、私は思わず呟く。

「すごく暖かい」
「そうでしょ。 それで、何をしに来たの? その様子じゃ、ただ話をしに来たというわけじゃないでしょ」

私が隠し持っていた小さな箱を指差し言う。
さすがイヴァンだと思った。私のことはなんでもお見通しだ。
もしかしたら、隠しきれていなかっただけかもしれないけれど。

「これは、その。そ、そうだ! 今日って何の日か覚えてる?」

自分から言い出すのがなんとなく恥ずかしかったので、イヴァンが自分で言うのを待つことにした。

「今日……?」

何かあったっけ? と首をかしげる彼にまた私は少しの怒りを感じる。
いつも、自分のことは大切にしてと言っているのに。

「もう! いつも自分のことは大事にしてって言ってるじゃない! だから、今日が何の日かも思い出せないのよ!」

言ったあと、ハッとして口を押さえた。
とてもこの場には気まずくていられない。
そう思った私は、気づくと家を飛び出していた。
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