東京卍リベンジャーズ Short

□これが噂の
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※灰谷蘭喋る際 "♡" 有ります。
灰谷兄弟高校生設定。苦手な方ご注意ください。
アンケートから"童貞"要素少し取り入れさせて頂きました!
Thanks!












友達と遊んだ帰り道でナンパにあい、無理矢理連れていかれそうになった所をたまたま通り掛かった男の人2人に助けられた。三つ編みの男の人と、金髪に青のメッシュを入れた派手なその2人は、灰谷蘭と灰谷竜胆と名乗った。





灰谷蘭さんの自己紹介からすると、彼らは私の一つ上らしい。
灰谷蘭さんが名前と年齢を教えてくれる間、彼の隣にいた竜胆さんは私をチラチラと見ながら何かを言いたげにしていた。

結局一言も発さないまま、私へ背を向けた彼と蘭さんに、精一杯の大声でお礼を述べた私へヒラリと片手を挙げたのは竜胆さんだった。





"最後までカッコよかったな…" なんて、もう会うことは無いであろう彼への思いを心にしまい込み、人混みに紛れるようにして帰路へと着いた。









─────────








あれから1ヶ月が経ったある日の朝。
いつものように学校へ向かっていると、校門付近で皆何かを避けるようにそそくさと歩いていた。 不思議に思ってそれを見ようと正面を歩いていくと、いつぞやの彼の声が聞こえた。







「あ〜、にぼしちゃんいた♡」


「……」


「あなた方は…灰谷蘭さん、灰谷竜胆さん!」


「正解♡ なんでフルネームだ〜?」





ニコニコ、手で三つ編みを遊ばせながら蘭さんが笑う。隣の竜胆さんは相変わらず黙ったままだ。






「……えっと、おはようございます!お2人ともこんな所でどうされたんですか?」



「どうもこうもなぁ?」


「……普通に学校だろ」



「あれ…? 同じ学校だったんですね…!」





眉間に皺を寄せて答える竜胆さんが今日もかっこいい。正直顔がどストライクなのだ。あまりにもかっこよすぎて、彼をずっと見ていたいなんて思いは心にそっと閉まう。相手はとても迷惑そうなので。






「知らなくて当然だろ。俺らあんまり学校来ねぇからな〜」


「……学年も違うだろ」


「…確かに! あの、何故お2人は道行く生徒達に避けられているのでしょう……?」






2人から目を逸らす生徒たちの様子が酷く気になって、元凶である2人に聞いたことを私は少しだけ後悔した。






「…………あ? お前灰谷兄弟って知らねぇの?」


「灰谷兄弟…?」


「あ〜、俺らのこと知らないから怖がってなかったんだ。
にぼしちゃん、俺たち灰谷兄弟は六本木仕切ってんの」


「……つまり?」


「俺らが一声かければ100人は裕に集まる。」


「…わかりやすく言うなら不良かな〜? それも結構やばい方の。ちなみにネンショー上がり」


「ネンショー……少年院ですよね…不良は怖いと思いますけどお2人はお2人ですし、そもそも助けて頂いたのに怖がるのは失礼だと思うので、私は怖くないです」


「……は?」


「ははっ、なるほどねぇ…にぼしちゃん良い子〜
俺のことは蘭ちゃんって呼んでな?」





嬉しそうに私の肩に腕を回す蘭さんと顔を顰める竜胆さん。





「……蘭先輩!じゃあ、私今日日直なので失礼します〜
灰谷先輩…同じ学校なら何かあったら頼っちゃうかもしれないので、学校来てくださいね!」


「…………ハ?」


「にぼしちゃん俺にも頼れよ〜?」


「そうですね、機会があれば是非!」






スっと蘭先輩の腕から抜け出して竜胆さんの前に立ってそう伝えると、驚いたような顔のまま固まってしまったので、とりあえず一礼して2人へ背を向けて歩き出した。
竜胆さんからは許可が出てないので、苗字呼びのままにする事にした。蘭さんは蘭先輩だから呼び分けは着くから良いかと1人納得したから。







「…竜胆〜?」


「……なに、兄ちゃん」


「俺狙ってもいいか〜?お前欲しい?」


「…………俺も欲しい」


「ははっ、竜胆相変わらず素直じゃねぇなぁ。
それならもう少し愛想良くしとけ〜?」


「……兄ちゃんうるさい」






私が背を向けたあと、2人がそんな会話をしていたことは、誰も知らない。








──────────







それからちょくちょく竜胆さんに会うようになった。
学校で彼に会う時は決まって彼は1人だった。彼はいつもチラリと私を見て、何かを言いたげに黙っている。








「あの……灰谷先輩、どうかしました?」



「……あー、いや、何でもない」



「そうですか…じゃあ、また」



「………おう」






私が一礼して去ろうとすると灰谷先輩はいつも眉を下げ、やはり何か言いたげにヒラヒラと手を振るのだ。結局彼が何を言いたいのかわからないまま帰る、というのが再会してから2ヶ月程続いていた。








さすがに気になった私は、次の日蘭先輩に聞いてみることにした。



ひとつ上の学年の教室へ向かう階段はいつも少し怖く感じる。もし2人とも居なかったら、絡まれても誰も助けてくれない、なんて怖気付きそうになって足が止まってしまった。と同時に、見た事のある人物が階段を下ってくるのが見えた。







「あれ〜? にぼしちゃんじゃん」


「ぁ……蘭先輩」






それは蘭先輩で、幸い彼は1人だった。
スっと隣に並んだ彼が、心配そうに私を覗き込んだ。






「どした〜? 竜胆に用事?」


「いえ…あの、蘭先輩に用事です。が、3年の教室に行ってお2人がいなかったらと思って怖気付いてただけです」


「……お前が俺らのどっちかと付き合ったら誰も手出せねぇけどなぁ?」


「ただでさえ助けて頂いた身なのに烏滸がましいです…」


「もっと貪欲になれ〜? で、俺に用事って何」


「灰谷先輩の事なんですけど…」






ポンと背を押され、階段を下ってどこかへ向かう彼の後をついて行きながら相談を口にする。






「竜胆に何かされた?」


「いえ……いつも何か言いたげにしてるんですけど、聞いてみても "何でもない" って返されるので結局何を言いたいのか分かってあげられなくて、それで困ってるんです」


「ふーん? じゃあ蘭ちゃんが一つ提案してやるよ。
"竜胆くん" って呼んでやって」


「竜胆くん、ですか……」





私がそう言った瞬間、後ろから物凄い音が聞こえて振り向くと竜胆さんがいた。
どうやら持っていたものを全て床に落としたらしい。それらを拾おうと彼の方へ近付くと、





「…っ、いいから、拾わなくていい、大丈夫だから」





なんて真っ赤に染まった顔を手で覆う竜胆さん。
後ろでは蘭先輩が楽しそうに笑っている。





「あの…灰谷、先輩」


「っ、な、なんだよ」


「名前で呼んでもいいですか…!」


「……勝手にしてくれ…」





消え入りそうな声でそう呟いて顔を隠してしまった彼が可愛くて、愛しくて胸が締め付けられる。





「竜胆先輩、竜胆くん…」


「…………あんま呼ぶな」


「……可愛い、好き…」





今度は耳まで赤くなる竜胆くんに、思わず口が滑っていた。驚いたように私を見た竜胆くんに首を傾げる私へ蘭先輩が乗っかってきた。







「にぼしちゃん今 "好き" つったな〜?」


「え?!言いました?!」


「………言った」


「…すいませんでした!潔く振られます!!
竜胆くん好きです…顔が、どストライクです……」


「ウケる、顔だけ?」


「これから中身も知りたいと…」


「……俺、あの……兄ちゃんみたいに女慣れしてないし、傷付けたりしても気づかねぇかもしれねぇし、女心とか分かってやれない、と思う……それでも、良いか?」







おずおずと小さくなった竜胆くんが、下から私を見上げる。普段からのギャップと、この破壊的可愛さに心臓が持ちそうにない。
飛びついてしまいそうになるのを必死で我慢して、深深と彼に頭を下げた。






「よ、よろしくお願いします!」


「…ねぇ〜、竜胆童貞だけどいいの?」


「っ、兄ちゃん!!!!!!」


「…そうなんですね! 私は嬉しいです!」


「…………やめて」






真っ赤な顔に涙目の竜胆くんが、ふるふると首を振るのを見て、さすがにいじめすぎたなと蘭先輩が笑った。






「にぼしちゃん、竜胆頼むな〜?」


「こちらこそ…よろしくお願いします、蘭先輩!」


「…兄ちゃん早く帰ってよ」






頬を膨らます竜胆くんが、蘭先輩を手で払うような仕草をして見せると、楽しそうに笑った蘭先輩がヒラヒラと手を振って私達に背を向けた。









これが噂の


(( ギャップ萌えとか言うやつか ))


( 初めて出会った日のクールな竜胆くんと、私の前で顔を真っ赤に染める竜胆くん…どっちも良すぎる!!
かっこいい、可愛いの大渋滞 )
( お前こそ、ちょっとイメージ違うけど、好き… )



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