short 鬼滅

□口に広がるちょこれいと
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一応ハロウィン、クリスマス、バレンタインのお話と繋がってる設定ですが、そちらを読まなくても読めるようになってます!
遅れましたが……Happy Valentine♡









ある昼下がりのこと。



"今日はどちらも任務が無いからお昼もゆっくり出来るねぇ" なんて、この世界には鬼なんて居ないのではないかとそんな気になる程に平和そうな雰囲気を出すにぼし。






「むいくん、お茶飲む?」



「うん、飲む」



「そう言うと思って淹れてきました」





"じゃ〜ん!" なんてこれまた笑顔で平和そうなにぼしが可笑しくて笑い出した僕を見て不思議そうな顔をした。






「……ねぇにぼし、今年は?」



「ん?」



「2月の14日だけど……ちょこれいとけぇきとかいうのはないの?」



「…………!!!?
むいくん、去年の覚えててくれてたの?」







そう言って嬉しそうに僕を見た彼女が立ち上がる。
一緒に住んでるから、彼女が何も用意していないことは何となくわかっていた。それでも自分のために何か用意してくれてるのでは、なんて少し期待してる僕は馬鹿なのかな。







「……やっぱりなんでもない」



「むいくん、ちょっと待っててね!」








そう言ってドタドタと玄関の方に走って行ったにぼしが何かを抱えてすぐに戻ってきた。







「お待たせ!!」



「……にぼし、それ何?」



「これね、ちょこれいとのお菓子で、とりゅふって言うんだって!一つ一つは小さいけど凄く美味しいの!!」



「……あり、がとう…貰えると思ってなかった」



「今年はね、蜜璃ちゃんの家で一緒に作ったんだ」



「どうして?」



「秘密にしたかったから!ほら、一緒に住んでたらなかなか秘密には出来ないでしょ?だから蜜璃ちゃんにお願いしてみたの」



「そっか、嬉しい」



「喜んで貰えて良かった!」






自然と笑みが零れていたらしい。
僕の顔を見て "あ、むいくん笑ってる" って僕より嬉しそうなにぼしがぎゅっと僕を抱き締めた。







「あのね、むいくんと一緒に暮らすようになって、毎日幸せだよ。家に帰ればむいくんが待っててくれるって思ったらどんな任務でも頑張れるから……だから、」


「……僕も、にぼしが居るから、任務頑張れる。僕達は鬼殺隊だから……明日の事は正直わかんない…だけど、来年も一緒に居る為に、2人で今日を生きて行こう」







言葉に詰まる彼女の頭を優しく撫でてやると可愛い顔で僕を見上げた後、嬉しそうに頷いた。






「にぼし、世界中の誰よりも好きだよ」


「私も、負けないくらい大好き」





口に広がるちょこれいと


(( その甘さは、まるで僕らのよう ))

( 来年はちょこれいと僕も一緒に作る )
( それじゃ意味ないよ……?!)







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