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□みじめな子
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1.みじめな子



 小さな田舎の町で、あの子自殺したそうよという話が出回りだしたとき、ワーマエ氏はあのお気楽そうなあの子が、と頭に浮かべた子どもを思った。
詳しく存じないが、あの子、はよく町角で出会うし、小さいながらに挨拶もしていたから、なんとなく印象があった。

なんでも、いじめを受けて小学校から不登校になっている知り合いを急かしたことが原因で、同じように不登校な生徒からも目をつけられたらしい。

無駄なことをするからだとワーマエ氏は思ったが、市場に出掛けるには関係ないと切り替え、颯爽と市場へ向かった。


しかし市場でも、あれこれと、それでもちきりだった。みな口々に言う。

弱いものには触れずさわらないのが一番だ。
弱いものは関わらないのが一番であるのに。
町でもたまに聞くあの子、なんぞが、声をかけるからだ。
立場の違いとはいやはやおそろしい。

市場でパンを買いながら、ワーマエ氏はくつくつと笑った。
まったくその通りだ。


あの子が自殺したそうよ。

嘘つき、嘘つき、お前の言葉を聞くくらいならと不登校児が集まって、手を叩いていた。

彼らがされたことのよう。

あの子、

誰だって、ひとのことを言えないじゃないかと
身を持って教えたのね。
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