掌編集

□どんな嘘でも
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最終2018/08/24更新

 嘘に優しいとか悲しいなんてないのだ。
ただの裏切りを、人が勝手に綺麗に見せたくなってしまうだけだと思う。
判断を奪って自由を束縛することに、感情があるだろうか?
不思議でならなかった。
どんなに傷ついてでも、私なら真実を知る方に進んだと思う。
まあ、嘘を隠し事と呼ぶときの場合だけど。

だって、優しさだって言われてしまったら責めることも出来やしない。
ずるいって思う。

だから、みんな悪いことをしてるんだと思うし、自分自身も悪さであるべきだと思う。

だって、裏切りに理由をつけたいなんて、理解出来ない。



知りたいこと以外を答える家庭で育った。


「私、よくなるかな?」

という問いに返るのはため息で、「何歳なの?」という問いに返るのは「聞かないで」で、「なんの仕事をしてるの?」にはにらまれて、「学校、どう?」には「別に」


誰に聞いてもそんな感じだ。
誰もがしょうもない質問にしか答えなくて、私はいつもどこにも行けなくて。

そんな、知りたいこと以外を答える家庭で育った。たまに来る誰かは、愚痴くらいしか話さないし、たまに来る友達とも、距離感がよくわからない。

なんの情報もない毎日だった。
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