掌編集

□みじめな子
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2. ドッペル



 運命だったと思う。
名前が同じで、顔も、近くから見なければそれなりに似ている。

まったくの他人だけど、計画には必要な気がした。
道を歩くあいつを、きっと周りは私だと思うだろう。
そして、知らない誰かの写真に真面目に喜ぶのだ。
似ている誰か。
虚像でもなんでもいい。そんなものに踊らされているだなんて、面白いな。
わざわざもっともらしく目立ちたがったり、名前を出そうとしている時点で、それが偽物だってわかるはずなのに。

 誰一人、疑わなかったらそれはそれで笑えるじゃないか。
こんなもので騙せるだなんて、きみらはバカにされているんだよって教えてあげたいけれど、黙っておこっと。

 わざわざ名乗りたがる時点で変だし、自らさすがに、そんなにわかりやすいヘマなんてしない。周りをばかにしすぎなのが残念だけれど、私はニセモノを見守る。

「ふふっ」

 屋上から見下ろした地面には、のんきそうなダミーが歩いてる。
食べかけていたおにぎりをいっきに食べ終えて、お茶を飲んでから、私は小さく言った。

「頑張ってね、引き付け役」






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※いたらこうだと不気味だなという妄想。作者とは無関係。
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