edelweiss

□心配
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(夏菜子目線)
今日は朝から仕事のあとレッスンがあることになっていた。
でも、朝起きたときから体が重く、風邪を引いたと思ったが休む訳にもいかずマスクをして出勤してきた。

朝はまだそれでもそこまで体調は悪くなかったのだが、昼過ぎてレッスンが始まって少し動いたら息が上がって体調が悪くなっていくのがわかる。それでも迷惑をかけたくなかったので頑張っていたがもうダンスについていけてない。

「かなこ、遅れてるよ!」
「は、はい」
かろうじて返事はするが動けない。

やっと休憩になって壁に持たれていたらいきなり頬に冷たいものが当たった。
「うわっ、ど、どうしたの?あーちゃん」
「やっぱり。熱あるよ?」
そう言うとあーちゃんはゆみ先生のところへ行き、少し話して戻ってきて無言で私の手を引いてどこかへ向かう。
「あ、あーちゃん?どこいくの?」
「いいから、ついてきて」
そう言われてついていくと仮眠室に連れてこられた。
「早く」
「え?」
「え?じゃないでしょ、いっつもそうやって無理するじゃん、ゆみ先生には抜けるって言っておいたから休んで」
有無を言わさない圧を出しながら少し怒ったような口調でベットに寝かせられる。
「いや、でm」
「でもじゃない。」
そう言うとあーちゃんは泣きそうな顔になって言った。
「お願いだから無理しないで。一人でずっとソロの活動も多くて大変だったじゃん。心配なんだよ?かなこちゃんのことが、」
そう言われ、素直に甘えることにした。
「ごめんね、わかったよ。じゃあひとつだけお願いしてもいい?」
「なに?」
「眠るまで手繋いでていい?」
「いいよ」
そう言うとあーちゃんは私の手を取り握ってくれた。それに安心した私は少しずつ眠りに引き込まれた。微睡みの中に聞こえた「愛してる」を噛み締めながら。


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