edelweiss

□ヒーロー
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実在の人物とは全く関係ない妄想の話です。この類いの話が苦手な方はすぐに戻るボタンを押してください。










<あやか目線>
今日もまた地獄の時間が始まる。そう思うと学校に向かう足取りは重くなっていく。
いつから始まったか何てもう覚えていない。原因が何かなんてわからない。最初は無視とかそんなもんだった。だんだん聞こえるように悪口を言われたり、机に落書きされたり、いじめはエスカレートしていった。でも、まだそのくらいだったら無視することができた。でも今では机の中にゴミは入れられるし、トイレにいれば水はかけられるし、放課後になれば呼び出されて集団リンチにあっている。もう、先生に相談するのも諦めた。過保護な親に言って何か行動されてこれ以上酷くなったらっておもったら言えるわけがない。はぁ、もう学校休みたいな、、、そんなことを思っているうちに教室の前に着いてしまった。
ガラッ
扉を開けるといつもだったらあるはずのところに私の机がない。
「はぁ」
誰にも聞こえないようにため息をつくと窓の方へ行き、グランドを見る。
無造作に捨てられている机を見つけると仕方なしに取りに行った。
また今日も心を殺すんだ。
自分にそう言い聞かせて席についた。

~朝のSHR~
ガラガラガラッ
何時ものように先生が入ってきたと思ったらその後ろから一人の女の子がついてきていた。
「今日から転校生が入る。」
そう先生が言い、その子に自己紹介を促すと、えくぼをうかべながら、
「百田夏菜子です。バスケが好きなので、部活はバスケ部に入りたいと思っています。よろしくお願いします!!」
と言った。そして席は私の隣になった。 
クラスの人達ははしゃぎ、休み時間になると百田さんの席にみんなが集まった。私は教室にいづらくてなるべく休み時間になると外に出た。

でも、みんなの興味は今百田さんに行っているから今日は平和に過ごせるかもしれない。そんなことを思った私がバカだった。帰りのSHR後に帰ろうとすると呼び止められた。
「ねぇ、何帰ろうとしてるの?笑」
「そんな易々と返すわけないじゃん?笑」
10人ほどの女子に体育館裏に連れ出されて、両腕を捕らえられて抵抗出来ないようにされ、笑いながらおなかを蹴られたり殴られたりした。
「っっ、うぁっ、んぁっ」
「ねぇ、帰れると思った??ねえ、笑バーーーカそんなことさせるわけねぇだろ!!」
「「「あははははは」」」
そう言われると、一人が火のついたタバコを腕に押し付けてきた。
「んあぁぁぁ!」

1時間くらいすると主格のやつが
「はぁー疲れた。帰ろーぜ」
そう言うといきなり両腕を離され、力の入らない私の体は地面に崩れ落ちて、意識が闇に吸い込まれていった。

「さん、さきさん、、佐々木さん!!」
「っっ、」
体の痛さと私の名前を呼ぶ声で目が覚めた。気がつくと目の前には私の体を揺する百田さんがいた。
「ねぇ、大丈夫!?なにがあったの??」
心配そうな表情で必死に聞いてくる。
私は今一状況が掴めないまま突然の事に恐怖を感じた。
「な、なんでもないです!!ごめんなさい、」
そう言い捨てて逃げようと走り出そうとした。すると百田さんに腕を捕まえられた。
「ん、っ、たぁ」
「あ、ごめん!痛かった?ごめん、でも、なにがあったか私には分からないし、この学校の事もよく知らない部外者なのかもしれないけど、こんなに怪我をしている、苦しそうな人をほおっておくなんて、私には出来ない!」

強い口調でそう言ってくれる百田さんに一瞬頼りそうになってしまった。助けてほしいと思ってしまった。でも、助けてなんて言えなかった...もう、人を信用なんか出来ない、あいつらのせいで私の根性は曲がってしまった。私の口は勝手にこう言っていた。
「ありがとうございます。でも、だいじ」
「大丈夫なんかじゃないじゃん!じゃあ、この腕の赤い斑点見たいなやつはなに?」
「っ、」
「ねぇ、いじめられているんだよね、ごめん、いきなり外部の人間に、しかも初めてあった奴に首を突っ込まれたくなかったと思うけど、見過ごすことできなかった。」
「佐々木さんが今までどんなことをされてきたのか、どんなに辛かったか、私にはわからないし、その辛さを変わることも私には出来ない、、でも!佐々木さんが辛いときにそばにいさせて?その苦しみ、共有させて?味方でいさせて?...最後でいい。最後に私を信じてほしい。」
百田さんの強い言葉にいつの間にか私は涙を流していた。百田さんの胸に飛び込んでいた。
「これから、ずっと一緒にいて、私が守るから。」
そう言いながら強く抱き締めてくれた。

次の日、学校へ行くと、宣言通りずっとそばにいてくれて、守ってくれた。あ、それから呼び方も少し話すと私は百田さんからかなこちゃんに、かなこちゃんは佐々木さんからあーりんに変わった。

いじめによってつけられた傷はきっとこれから先ずっと治ることなんかない。でも、殺されかけた心はかなこちゃんに救ってもらった。白黒だった世界には少し色がつき始めている。


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