Purple Anemone

□頑固者
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"同年齢なのに先輩"たぶん常に心のどこかで劣等感を持っている。だから私はどうしても不安になってしまうんだと思う。
あーりんが寝た後どうしても寝られない私はあーりんを起こさないように電気を付けずにリビングでももクロChanを見ていた。あんなに大きな会場であんなにたくさんのモノノフさんたち全員を幸せにする先輩達。
「はぁ...不安感....」
ボソッと口から本音が漏れると後ろから突然抱きしめられた
「...なにが?」
「ひぁッ!!び、びっくりした...ごめん、起こした?」
「ちがうから...ねぇ、なにが不安なの?」
「...別に...なんでも」
「ふぅん...言わないつもりなら言わせるからいい」
するとあーりんはソファーに私を押し倒し、Tシャツに手を入れ、お腹を撫でてきた。
「ッん、ねぇ、ちょっと...」
「...今のまやまの顔誘ってるっしょ?」
「さそっ...て..なっ」
あーりんのしなやかな細い手が腰を、胸を這い回る。ときどき先端を掠って弄ってくる。
「ふッ、ぁ」
熱くなった体が言うことを聞かない。でも決定的な快楽はくれない。うずいて仕方ない感情を、快楽を目を瞑ってソファーの背もたれを掴みどうにか逃がそうと必死になる。
「ねぇ...なにが不安なの?」
私が言わない限り焦らすつもりのようだ。でも、こんなこと言ったら面倒くさいと思われる。
「...ん.....なんでもないんだってば..ッぁ」
あーりんの手が下りてそこを撫でる。良いところを一瞬掠めていくように。でも気持ち良くなり切れないように。
「...おしえて?」
それでも押し黙る私に指が入ってくる。しかも良いところだけを避けて。
「ヒぁッ....ず、ずるいよッ...ぁ」
「なにが?」
きっとまだまだ私はこの人には勝てないんだ。
「...とァッ..おいっ、なって...おもったの」
言葉と共に涙もこぼれ落ちる。
「...ごめん、意地悪しすぎたね。終わった後聞くから...楽になりな」
目尻をごしごしと手首で拭われたと思った瞬間に中に入ってた指が良いところだけをたくさん触り始めた。
「まっ、て..ムリッ....ぃや、あ、りァっん」
目の前が真っ白になってなにも考えられなくなる。
体から力が抜けてあーりんの指が私の中から出ていく。あーりんはすぐに水を取りにキッチンに行く。
なんか...悔しい。勝ち負けじゃないけど負けた感。勝手にふてくされてソファーの背もたれに顔を向けて丸くなっていると後ろから髪を撫でられる。その感触があまりにも優しすぎて、愛を感じすぎて泣きそうになる。
「...ね、どういうこと?」
優しく諭すような声に口が緩んで言わないつもりだったのに言葉が出て行く。
「...同じ年齢なのに...恋人なのに、手の届かないところにいる気がして、ずっとずっと先にいるから...なんか...なんて言ったら良いかわかんないけど...」
「うん、」
「たぶん...さみ..しい?んだと思う」
「んはは、なんで疑問形なの」
「...だって、、」
「ねぇ、顔が見たいな」
優しく、でも少し強引な声にそっちを向くとキスが降ってきた。愛を伝えるような、柔らかいキスに頭がいっぱいになる。
「じゃあ、私も思ってること言うね。私もね、ずるいなって思ってる。エビ中は歌が上手いし、ダンスだってすごい。私たちとは違うクオリティーを持ってるからね。やっぱりアーティストって感じがするよ。私から見ると」
「...え?」
「でもこれじゃあ嫉み合いみたいになっちゃうから...こんなことを言いたいわけではなくてね」
「?う、、ん」
「知ってるよ、ちゃんと分かってる。真山がどれだけ苦労して悩んで努力してここまで来たか。見てきたからね、一番近くで...っていうか隣で」
前から抱きついて下を向いている私のおでこを合わせながら諭すように愛を注ぐように言葉をくれる。その言葉に涙が出てくる。その涙を誤魔化すように
「...わたし抱き枕じゃないんですケド..アリガト」
「ふふ、素直じゃないなぁ」
規則的な背中のリズムに誘われて眠りについた。



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