短い恋のお話。

□教科書のラクガキ (承太郎)
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4時間目の授業中

教科書に目をやると、小さな折り目がついている

『?』

折り目のついたページを開くと
そこには!

なんとも豊満なバディの女性の絵が描かれていた

『…』

この教科書は昨日、承太郎に貸していた

承太郎に教科書にラクガキされたのはこれが初めてじゃない

そして、ラクガキはいつも卑猥なものばかりなのだ

怒りがふつふつと湧いて来る

4時間目終了と同時に教室を飛び出し、承太郎のクラスへ

予想通りにいない

となると考えられるのはいつもの屋上しかない





『承太郎ーーーーーーッ!』

花京院(以下 花)「うわ!びっくりした!名前、どうしました?」

『花京院くん、びっくりさせてごめん!承太郎は?』

花「承太郎なら…」

給水塔を指差す花京院くん

見ると煙が出てる

『…あそこか…』

私は給水塔のはしごに手をかけて登り出す

風がスカートをはためかせるのも気にせず

花「名前、危ないですよ!(あ、水色…)」

給水塔に登ると、承太郎が寝転んでタバコをふかしていた

私は承太郎を見下ろして仁王立ち

『ちょっと承太郎!何よ、あの教科書のラクガキは!』

承太郎がチラリと私を見た

いまだ風にたなびくスカート

承「…今日は水色か。」

『ーーーーっ//// 』

私は承太郎の横に正座して承太郎をまくしたてた

『水色とかどーでもいいの!ラクガキは何だって聞いてるの!』

承「見た通りのラクガキだが。」

『これで何回目よ!しかも卑猥なラクガキばっかり!』

承「授業が退屈だったんでな。寝ないように書いた。」

授業中に承太郎がいつものクールな顔であのラクガキを書いてるとこを想像すると
ちょっと笑えるけど

『もう貸さないからね!』

承「愛情表現だぜ?」

『アレのどこが!?』

承「あの絵はお前だ。」

『…ちょっと嫌がらせにも程がある。私はあんなにおっぱい大きくないから!ムカつく!どうせ私は貧乳ですよーだ!』

承「俺の願望だ。それに俺は別にお前が貧乳だとは思ってない。小せぇな、とは思ってるがな。」

口もとを手で隠してニヤニヤしてるのを隠してるつもりなのか

『承太郎…一回死にたい?』

承「くくくっ それは勘弁だぜ。」

『何笑ってるのよーーー!これでも服脱いだ方がスゴイんだから!』

承「それはぜひ見せてもらいたいものだ。」

ずっとニヤニヤしてるのがほんとムカつくーーーーー!

花「承太郎、名前、そろそろお昼休み終わりますよー!」

承「ほら、降りるぞ。」

『この結末はきっちり放課後につけさせてもらうから!………なにコレ…高い…こんなの降りれないー!』

承「やれやれ。そんな事だろうと思ったぜ。」

承太郎は2.5メートルくらいある給水塔から飛び降りて

承「ほら、受け止めてやるからココに飛び込め。」

と両手を広げる

『でっ、でもいくら承太郎でも…』

承「大丈夫だ。」

『うん…』

意を決して、承太郎の胸に飛び込む

承太郎はグラリともせず私を受け止めてくれて
3秒ほど抱きしめた後
私のほっぺたを承太郎の唇がかすめた

『承太郎…』

キュンキュンする
やっぱり承太郎はかっこいい!

承「後先考えずに登って来るからだ。」

『ごめん…ありがとう…』

承「…まぁおかげでイイものが見れたけどな。」

『イイもの?』

承「…水色の…」

『ーーーーーっさっきのトキメキ返せーーーーっ!』

いつもクールな承太郎も
中身はちゃんと高校生男子なのだ。


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