短い恋のお話。

□想い、伝わる(仗助)
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先生「東方!放課後職員室に来い!」

仗「げ」

居眠りがバレて呼び出し…めんどくせーな…

長い長ーい説教が終わって解放されたのは夕焼け空になる頃だった

仗「アイツ説教長ぇんだよ… ん?」

あの後ろ姿

見間違えるわけねぇ

ずーっと片想いしてるあの子

仗「名前じゃねぇか。何してんだ?」

『東方くん。ちょっと用があって…。東方くんは…あ、そっか、職員室に呼び出しだったね。』

中学から一緒で今年はようやく同じクラスになれた

仗「あのセンコー、マジで説教長くてよぉ、同じ事何回も何回も…」

『ゲームでもして夜ふかししたんでしょ?』

下駄箱から靴を出しながら名前が言う

仗「まぁ当たりだけどな!いや、もうちこっとでクリアできるとこだったからよぉ、やめるにやめれなくて〜…あ、名前、帰り同じ方向だったよな。久しぶりに一緒帰ろうぜぇ。」

『うん、いいよ!』

夕焼けをバックに笑う顔…グレートだぜ

『東方くんとこうやって話すの、なんか久しぶりだね。』

仗「だなー。せっかく同じクラスなのにな。」

『中学の時もモテてたけど今はさらにモテモテだもんね。話すどころか、近くにも寄れないもん。』

仗「いや〜…」

『ところで東方くんは、好きな子はいるの?』

髪を右耳にかけながら俺を見上げる

仗「えっ…まぁ…いることはいるぜ?一応…」

目の前にね

『…だよね、やっぱりいるよね!いいなぁ、東方くんに好かれてる子、羨ましいよ〜。』

仗「え?」

『ね、誰?好きな子!同じクラス?』

仗「だっ誰が言うかよ!俺のことより、名前はどうなんだよ!いるのか?好きなヤツ。」

いや、ちょっと待て

半分聞きたくないかも

『…いるよ?好きな人。すっっごく優しい人。』

仗「…そ、そうか…」

なぜかお互い黙ってしまって

沈黙を破ったのは名前

『告白はしないの!?東方くんならきっとうまくいくよ!』

うまくいかねぇよ

なんなら今しがた軽く失恋したところだよ

仗「なんの根拠があるんだよ〜」

『だって東方くんはかっこいいし、優しいし…東方くんに告白されて落ちない子なんているはずない!本気でいけば絶対落ちる!』

仗「…本気でいけば絶対…?なら…」

俺は近くの路地に名前を連れて行った

『ひ、東方くん?』

人生初の壁ドンってヤツ

『ひっひがしっかた…くんっ、ち、近…っ近いよ…っ』

仗「本気でいけば絶対…なんだよな?なら本気でいかせてもらうぜ。」

『東方…くん?』

仗「俺が好きなのは名前、お前だ。』

『えっ…』

俺は顔をぐっと近づける

仗「中坊の頃からずっと…名前が好きだ。」

本当に…落ちるのか…?

『…本気でいけば落ちるって言ったけど…残念ながら…』

ダメか…

『私…中学生の時にとっくに…東方くんに落ちてるから。』

仗「………え…マジ…?」

『ほんとだよ。ずーっと、好きだった。』

名前の言った好きな人って俺の事だったのか!

仗「やべ…ちょー嬉しい…」

自分の顔がどんどん赤くなるのがわかる

『ほんとの事言うとね、今日も東方くんが職員室呼ばれてるのわかってたから…東方くんが来るの、待ってたんだ。…話がしたかったから。』

仗「名前…」

『ずっと話すらしてなかったから。』

仗「うん…俺も…ずっと話したかった。」

『東方くん、私を好きになってくれて、ありがとう。』

恥ずかしそうに微笑む名前

仗「俺こそ。ありがとうな。」

『ふふ、なんか変なの。』

仗「名前、改めて。俺はお前が好きだ。俺と付き合ってくれねぇか?」

『もちろん!よろしくお願いします!』

差し出された小さな名前の手をぎゅっと握る

長い片想いは

やっと

実を結んだ

俺たちはまだ始まったばかり。


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