わえわえ短長編つめ

□【knem 】嚥下※
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『エミさん美味しいからみんな食べてや』

…なんて

エミさんの味を知ってるのも、知ってええのも、俺だけや。

廊下ですれ違った恋人に話しかける。
「エミさん」
エーミールは授業に使用すると思われる資料を片手に提げていた。
「はい、…あ、コネシマさん」

「昨日ぺ神と何かしてたやろ」
「へぇっ??!」
白い瞳を丸くして何やら言葉に詰まっているエーミールをじっと見つめた。
「昨日は…しんぺい神さんにお紅茶を貰ってたんです、有名なブランドの。
今夜、頂こうと思って」

「ほーん、ならええわ」
パッと笑顔を作ると、エーミールも微笑むように目を細める。ほんま可愛えな。
「じゃ、お先に」
ぺこり、と会釈をして去っていく後ろ姿を見守る。

このとき感じた少しの胸騒ぎを、俺は気にも留めなかった。
もしかしたら、そこから間違えたんやろうか。






「…では、今回の議題を発表する。」

「ん、エーミールは何処だ」
議長であるグルッペンはあたりを見回し、小首を傾げる。
定期的に行われるこの議会に、エーミールだけが出席していないのだ。
「エミさんでも無断欠席とかあるん?でもまぁ…しゃあないわな」
「大先生それ…自分が遅刻する言い訳にはならへんぞ」
「とんち鋭いわー…」
「やっぱなんかあったんやない?…風邪とか?」
「あるわそれ」
メンバーの会話を珍しく黙って聞いている俺に気づいたのか、グルッペンは人差し指で手招きするような仕草をして俺を呼んだ。
「コネシマ、エーミールの自室見てこい。すぐ戻ってくるんだゾ」

「分かった、行ってきますわ」
グルッペンの指示を二つ返事で了承し、足早にエーミールの部屋へ向かった。
部屋にいなかったらどうしよう、何かあったんやろか。不安が歩く速さをいっそう速める。
あいつは用事を守らないような奴じゃない。ずっと見てきた俺だからわかる。
「エーミール…っ!?」
部屋に辿り着き勢いよくドアを開ける。まず鍵がかかっていないことに驚き、勢いで前に転けそうになる。顔を上げると、目の前の机に顔を突っ伏したエーミールが視界に入る。

…寝てる、のか??…
取り敢えずほっと息を吐き、それからエーミールに近づく。最近残業が続いていて、寝不足だとか言っていたな…
エーミールの異変に気づいたのは、そのすぐ後だった。

「……コネシマさぁん…?」
「エミさん、起き… 」

エーミールの頬は赤く紅潮し、荒い息を繰り返している。
口から漏れる息は熱を帯び、心なしか色っぽく見えた。

「え 、なん…!、?体調悪かったんか…??それとも、酒を…」
エーミールはちがう、と首を振る。
「分からない、んです…っなんか、おれ…風邪ひいた、みたいで…っ……でも、ちがくて…
こわい…たすけて、こね、しまさん…」
ギュッと 震える白い指で俺のユニフォームを引っ張る。
動揺し揺れる視界が、割れた紅茶のカップ(エーミールが愛用していたイギリス製のカップ)と、床まで滴る紅茶めいた水溶液を捉える。
その横には、仕事をしていたのだろう、たくさんの資料が重ねてあった。
「取り敢えず横になれるか?エミさん」
「ん、ぅ…っ」
エーミールをベッドに寝かすと、硬直したエーミールのそれに気づく。
俺は全てを察した。
「エミさん、これ、飲んだあと?」
「え…?」
「この紅茶飲んでから、体つらくなった?」
「…わ、分かりませ…ん…」
「そっか、じゃあ、水持ってくる」
恐らく、ぺ神のくれた紅茶のなかに、媚薬か何かが入っていたのだろう…そうだとしたら、効果が切れるのを早める他ない。この部屋に施錠して、グルッペンに…何か言い訳して、欠席を伝えよう…そう思ったとき、エーミールは俺を呼び止めた。
「っこね、し、ま、さん…行かないで…っ」
俺は驚きながら、触れていたドアノブから手を離し、寝ているエーミールと目を合わせる。
「エミさん、それ自分で弄れる…?」
「やだ…」
「…エミさん?」
「やだ…やだ…」
「エミさ」

「コネシマさんに…触ってほしい…」


…あ、これもう、あかんわ。
俺はドアにガチャリと鍵をかけた。



俺は慣れた手つきでエーミールのズボンを下着ごと椅子に落としていく。
期待したまま昂ぶったそれを、指でゆっくりと扱く。
「自分で弄るの、嫌なんやろ?」
「んっ…やっ…あ、」
コネシマは白い首筋に噛み付くも、彼にとっては興奮を誘う行為でしかなかった。
「はぁっ…エミさんしばらくしてないやろ…」
少し触っただけで、頭を擡げた性器はもう限界らしい。
「一回イこっか、エミさん」
「やぁ…っあっ…だめ…」
先端を濡らしていた透明な液は気づかぬうちに白濁に変わり、吐き出された熱はシーツを汚した。彼の言葉は本当らしく、シーツの上の水滴はねっとりと濃い。
僅かに痙攣しているエーミールの下肢を持ち上げ、自身の唾液を絡ませた指で、とんとん、と侵入部をなぞってみせた。

「ごめんな、エミさん、ちょっと我慢してえや」

とだけ囁き、ずぷっ、と後孔に指を入れる。
すっかり反応した秘部は、コネシマの指によっていとも簡単に蕩けていく。

「挿れるで…っ…」
「あ…っ、いた、痛い…っ」

「俺と一緒に息しような」
エーミールは涙目で大きく呼吸を始めた。
「ぁ、ん、んんっ…」
俺のなかで言う通りになるエミさん、可愛え。
俺だけの、エミさん。
俺だけが知ってる、エミさんの味。
「喘ぎっぱなしやな…可愛えよ、エミさん」
「ん、や…っ可愛く、…ない…、っです」
唐突に思いつき、いつもより低い声で…教授、と囁いてみる。エーミールは、普段聞きなれない声の波動に自然と肩が跳ねてしまう。
「っ…締まっ…っそんなに気持ちええん?」
「んぁっ…はい…っごめんな、さい……、っん」
くちくちと卑猥な音が鼓膜を震わせる。
初めての感覚に戸惑っていた本人も、じわじわと熱に犯されていく。
「ココが気持ちええんや、エミさんはド変態やね」
「ん、そうで、す……っすみま、っんっ♡」
「ここがええの?」
ぐっ、と押し上げると、エーミールも喘ぎ声で返す。

「あ…っ、もっと…もっと、ゆっくり…あっ」

俺は律動を速め、落ち着きのないキスを一つ、彼の唇に落とす。


「ん…っ、こねしまさん、すき、すき…」

「俺も、好きやで……、出してええよ、エミさん」
「…っあっ…!!んんっ…」
下腹部で興奮が弾け、俺とエーミールは同時に果てた。


後処理を終えると、とろとろと心地良い眠りに誘われる。

明日は、エミさんと一緒に本が読みたい。

ゲームがしたい、ご飯を食べに行きたい。

それから、それから…


また、紅茶のカップを買いに行こう。

俺は、気持ちよさそうに眠るエーミールの髪を、さらりと撫でた。
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