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□みんなでやればきっと楽しい、いつも楽しい
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「……そっスね。ならファミレスでどうっスか?」
「異議なし!」
俺が提案すると、3人は一瞬顔を見合わせてから承諾した。
その後、先輩方と尾長には先に戻ってもらい、俺と京治で掃除用具の片付けをした。俺1人でやるつもりだったが、奴は頑として譲らなかった。
「お金、大丈夫? みんな相当飲み食いすると思うけど」
「仕送りで余った分貯金してるとこから出すから大丈夫。7、8万くらいまでならいけるんだけど、足りるよな?」
「さすがにそこまではいかないと思う」
「ならよかった」
「二次会とか言い出さなければの話だけど」
「……それは俺が責任負う範疇じゃねぇっしょ」
「うんまあ。もしそうなったら阻止するから」
「悪いな」
「別に……っていうかさ――」
京治が不自然なところで言葉を切ったので、使ったデッキブラシ全部を抱えた状態で振り返った。
「なんでそんな楽しそうなんだ?」
「え? そう見える?」
「見える」
「んー。まあ、それはアレだよ。プール掃除なんてなかなかできることじゃなかったから」
「……確かにそうだけど。二度とこうならないようにしてくれないかな」
「善処する」
「そこは分かったって言ってほしいんだけど」
「無理。どんだけ気をつけてても起こっちまうもんは起こっちまうだろ」
「…………」
本日何回目かの京治のため息の音を聞きつつ、片付けを終えて意気揚々と他の人が待つ部室へと戻っていった。
夏の終わりの、ほんの戯れだ。
続く