呪術小説
□虹色のような恋をしたいと願った日に
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悠仁と2人きりで話した後、自分の呪いについて詳しく打ち明けてみた。
やはり、悟さんが言っていたとおり、悠仁はある程度は察していたようだ。少し驚きはしたが、動揺はしていなかった。
そして、翌朝。
「未来、おはよ!」
「……おはよう」
食堂へ向かう途中、後ろから悠仁が駆け寄ってきた。そして、こちらの体を観察するようにあちこちを見て回る。
「今日はまだ?」
「うん」
「そっか。手当て、必要だったら言えよ? あ、伏黒と釘崎にも話しといたからな」
「……そう」
2人がどういう反応をしたのかが少し気になるが、おそらく悠仁とあまり変わらなかったのだろう。釘崎にいたっては、「なにを今さら」などと言って、呆れていたかもしれない。
「……背中とか、手が届かない場所にきたら頼むかも」
「え!? そんな場所にもできんの!?」
「前に……何回か」
あれは、まだ俺が五条家にいた頃の話だ。世話係の人がいたので、大して不便ではなかったけれど。
まもなく食堂につき、それぞれ目当ての食事をトレイで運んで空いている席につく。そこへ、遅れて伏黒と釘崎がやってきた。
空いている席はまだたくさんあるのだから、別々で食べてもいいようなものなのに。なぜかこうして同じテーブルで食べることが、すでに暗黙の了解となっていた。
「ねぇ。ちょっと買い物行くんだけどさ、誰か荷物持ちやってよ」
そんな朝食の席で、腰に手を当てた姿の釘崎が半強制的な頼みを切りだしたのだった。
そういえば、今日はめったにない非番の日である。よほどの緊急事態が起こらないかぎり、招集されない。思う存分ショッピングを楽しむには、うってつけの日だろう。
釘崎の命令を下す女王様のような立ち姿を見た悠仁と伏黒は、一瞬で顔を青くしていた。
「……おい。シカトこいてんじゃねぇよ。誰かついてこいっつってんだろうが」
もはや脅しである。
「……俺、行こうか」
「!?」
食後のコーヒー牛乳(瓶入り)を飲んでいた俺が手を挙げると、他3人が目を見開いてこちらを向いた。
急に注目されるのは、やはりまだ慣れない。肩をすくめて目をそらした。