呪術小説
□友愛と親愛、そして未来と
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少し休んだ後、虎杖と釘崎とも無事に合流できた。
例の青緑色の呪霊と、釘崎を領域外に引きずりこんだ呪霊—―いずれも特級相当だった――を撃破したそうだが、なぜか体が消滅せずに残っているという。
そこで、ケガの手当てもそこそこに、2体の呪霊の死骸を回収し、高専で調査することになった。
「悟さん。例の結果、上がりました」
「ご苦労様。どれどれ?」
家入先生の解剖結果を持って、待機していた悟さんのところに行って報告書を渡した。彼は、興味深そうにその内容をじっくりと読んだ後、いつもの不敵な笑みを浮かべた。
そして、おもむろにスマホを取り出し、どこかに電話をかけた。
「やぁやぁ。あれ? もしかして今日非番?」
失礼ながら、耳を澄ませて会話を聞いてみる。
『そうよ。用件はなに? 手短に頼みたいんだけど?』
「それがさぁ。指の呪霊だけじゃなくて、他の2つの遺体を調べてみてびっくり。なんと例のブツの受肉体でさぁ」
悟さんが指をさしてコーヒーを所望したので、すぐに用意して差し出す。悟さんはそれに、角砂糖を2つ入れてスプーンでかきまぜた。
「特級相当を各個撃破……今年の1年は豊作だねぇ。僕の指導者としての腕がいいのかなぁ?」
悟さんが一瞬だけこちらを一瞥する。少し動揺してしまい、つい目をそらしてしまった。急な褒め言葉は心臓に悪い。
『オフのときまであんたと長話ししたくないんだけど。飲み会の幹事の件でしょ?』
「どう? 人数集まりそう?」
飲み会? 高専の教師でそんなものを開く話が出ていたのか?
『全然。私も含めてみんな忙しいの。どうする? 学生にも声かけてみる?』
「僕、下戸だから。ノンアルでも構わないよ。じゃ、引き続き声掛けよろしく」
そこで悟さんは電話を切った。スマホを片手で弄び、なにやら考え事をしている。
「朔」
「はい」
「他に報告することがあるんじゃないの?」
「は……え?」
新しい任務の依頼かと思いきや、予想外の言葉に再び動揺する俺。悟さんは、いつも以上にいたずらっ子のような笑みを浮かべてこちらを見ている。
「見事にゴールインしたんでしょ? 恵と」
「ご……っな、なぜそれを」
知られていた。恐るべし情報網。しかし、なぜ知っている。