DC小説
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安室の真実の顔が明らかになった事件の、数日後。今日は、新しくできた話題のとあるテーマパークでの取材を仰せつかった。
しかし、俺は猛烈についていなかった。
朝のニュース番組の占いで、最下位だったことは、まぁ、よくあることだ。女子ではあるまいし、そんなものを見て一喜一憂できるほどの純粋さは、とうの昔に捨てた。
なにがついていなかったかというと、テーマパークに入園した途端、あいつの姿を目撃してしまったから。
頭脳は大人、体は子供のラッキースケベ探偵だ。
「あ、雄飛さん。もしかして、取材?」
「…………」
「え?……あれ? 雄飛、さん?」
なんの反応も見せないこちらを不思議がり、手を挙げて大きく振り回しているコナン。
テーマパークと名探偵。これが意味するところとは。
そう、事件である。
「……今日はだーれが死ぬのかねー」
「え!?……どういうこと?」
「だーからぁ。お前プラステーマパークイコール事件だろうがよー」
「なんだよ、その方程式……」
呆れた顔をしているコナンだが、果たしてどこまで自覚があるのかないのか。
とにもかくにも、これは早々に切り上げた方がよさそうだ。
「そういえばさ、あれからどう?」
「んー? なにがぁ?」
「安室さんだよ。なにか変わったことはない?」
コナンが口の横に手を添えて、周りになるべく聞こえないよう配慮してきたので、こちらもその場にしゃがんで顔を近づける。
「まー、いつもどおりだなぁ。今朝だって、ふつーに朝飯作ってくれたし」
「……作ってくれた?」
「おー」
「雄飛さん……まさか、安室さんを自分の部屋に入れて、料理作ってもらってるの?」
「まーなー。そんでー、むこうが時間あるときはそのまま一緒に食べてるぜー」
「はぁ!?」
いや、なんでそこそんな驚く?
例の来葉峠での一件の翌日、いつもどおりに差し入れのサンドイッチをもってきてくれた安室。なにも考えずに、よかったら一緒にどうですか、と軽い気持ちで誘ったら、一瞬驚きながらも笑顔で乗ってきた。
まぁ、いうなれば、その次の日からだ。
彼が、食品ではなく食材を持ち込んで、うちで料理をするようになったのは。