小説

□Episode6
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予告



見るのはいつも、決まって同じ夢


広い部屋に、一人の男の子がいる


ドアが開いた


W兄さん!W


愛しそうに、彼を呼ぶ


幸せそうな光景だ


次の日も、その次の日も、男の子は彼が来るのを待っていた


春の訪れを待つように、吟遊詩人の歌をせがむように


そして思った


W…痛いよ…やめて…W


ーーあぁ


W…ごめんなさい…許して…W


ーーその子は本当に


W…にい…さ…W


ーー兄のことが、好きなのだと



Episode6



「やはりワタシは、神に愛されています!」


「手紙を、受け取ってきたんだ」


「…ハイ、イオリ。…どうかしましたか?」


「…もしかして…覚えていないんですか…?」


「………」



「…ふふ、ちょっとしたジョークですよ」



ーーあれ


「ナギっちさ、最近ヘンじゃね?」


ーー何をしていたんでしょうか


「…ど…どうしちゃったんだよナギ…」


ーー今は、何時?


「自分がどんどん分からなくなってしまうのが…怖い…」


「そうやって邪魔なものを、今まで何度も消してきたんだろう?」


「…Ahhhhhhhhhhhh!!!!」


「…忘れて…いただけませんか?」


「きっと彼も、あなたの訪れを待っていますよ」





ーーこれは、ワタシの物語でしょうか?



Episode6 六弥ナギ





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