小説

□Episode7
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予告



片割れを失って、オレは半分になった


W天にぃ!行かないで!W


四肢を捥がれたような、体を真っ二つに裂かれたような、痛みと苦しみが襲った


まるで自分の体が、自分のものじゃなくなってしまったような気がして…


輝かしい朝焼けも、雨の後に架かった虹も、流れ星に祈った星空も

どんな景色も二人で分け合ってきた


あんなに胸がいっぱいになった景色も、今は色を無くした別世界のように映ってしまう


一人で見る夕焼けは、オレの手に余る


この両手では抱えきれなくて、溢れて零れ落ちていく


オレはあの日から立ち止まって動けないままだというのに

進み続ける天にぃとの距離は開いていくばかり


何もかも、分からない


ただひとつ分かるのは、天にぃが求めてる場所は、オレの隣じゃないということだけ



Episode7



「その時には、天を君の家族の元に返すと約束しよう」


「あなたが倒れて体を壊しては、意味がないでしょう…」


「どうしてどいつもこいつも、オレの足を引っ張るんだよ!!」


「…わりぃ…。もう…おまえとはやっていけそうにねぇわ…」


「…許さない…!二度と僕の前に現れないで!!」


ねぇ、教えてよ…


オレは、どこで間違えた?



ーーWだから言ったでしょ?W


…え…?


ーーW大丈夫、リクにはあたしがついてるからW


オレはただ、もう一度

同じ景色を分け合いたかっただけなのに…


「全て横取りされて、これ以上に苦しいことがあるって言うのかい?」


「…っ…うわぁぁぁぁぁーーーー!!」


朽ちると知ってて、それでも愛したんだ


醜くも愛しい、この体をーー


「おれがずっと、りっくんの手ぇ握って隣にいるから!」


「…今までありがとう。さようなら…」





ーーこれは、オレ達の物語だ



Episode7 七瀬陸





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