この作品は、アイドリッシュセブンと図書室のネヴァジスタを読んだ作者が
「アイナナメンバーがもしネヴァジスタ形式で描かれたらどうなるか」
という思いつきの発想から生まれた捏造満載の二次創作の小説です。

図書室のネヴァジスタ(以下ネヴァジスタ)とは、アイドリッシュセブンのシナリオライターである都志見文太先生の過去の作品です。
アイドリッシュセブンをきっかけにネヴァジスタを知り、物語を読み終えた私には大きな衝撃が走りました。
「この物語は、私のことを知っている」
槙原先生の言葉をお借りしますが、本当にそう思いました。
都志見先生は私が今までの人生の中で何に悩みつまづいてきたかを知っていて、そしてそれを私が見つけられなかった、言葉にできなかった答えと一緒に描いてくれたものだと。
そんな錯覚に陥らせるほどの衝撃でした。
悲しくて、苦しくて、泣き疲れて、感情がぐちゃぐちゃになって、それでも続きを読むことをやめられない、そんな物語でした。
今までの人生で触れてきたどの作品や物語よりも素晴らしく、人生で一番の作品だと言える物語に出会えたことに深く感謝しました。
この作品はネヴァジスタの読者の方はもちろん、そうではない方もこれを機にネヴァジスタに興味を持っていただきたいという、図書室のネヴァジスタの布教を目的としている小説です。


ネヴァジスタ形式、というのはどういうことかという説明ですが、基本的にはネヴァジスタの個人ルートのような運びで、アイナナメンバー12人それぞれの物語を描いていこうと思っております。
あくまで短編であり、12ルート全てが存在する世界線はないという設定でお送りします。
例外もありますが、時間軸は一応3部終了後と定めております。

ネヴァジスタプレイ済みの方はご存知でしょうが、PCゲームのネヴァジスタ本編には、いくつかの選択肢と分岐点が存在します。
この小説にも、本編中に選択肢を用意して進行しようと思っておりますが、ENDが分かれる2つのルートを両方とも読んでいただく流れになります。
つまり、選択はできません。
どちらの選択肢が正しいのかを、予想し読み進めていっていただけると嬉しいです。


さて、ここからは忠告です。
ネヴァジスタを読まれた読者様ならお分かりだとは思いますが、この物語は希望溢れる幸せなお話ではありません。
最初に断言しておきます。
あなたの推しが不幸になります!
先に謝らせてください、ごめんなさい。


まずネヴァジスタという作品を、もう少し説明をさせてください。
テーマとして並べるとしたら「生と死」「大人と子供」「過去との対峙」「罪と罰」こんなところでしょうか。
年齢制限はありませんが、流血、暴力、犯罪、監禁、同性愛、性問題を取り扱う描写があります。
未成年の喫煙や飲酒のシーンもあり、バイオレンスかつショッキングな表現も多々登場します。
何より、精神が崩壊する様は本当にキツいです。
こちら側も一緒に崩壊しかけます。
ネヴァジスタは本当に素敵な作品ですが、それらの表現が苦手な方は、作品の本質に触れる前に辛くてページをめくれなくなってしまうかもしれません。
私が本当に辛かったのは外見的な描写よりも、登場人物の内面や精神がボロボロに崩れていく描写で、あまりの残酷さに目を伏せたくなるほどでした。
でもそういうって、少なからず誰の心の中にもあるもので。
悲劇の中に共感を見つけ、そしてキャラクターの人生の中に自分を見出す。
それが物語を体に取り込む醍醐味だと私は考えております。
私は平凡に生きてきたので、監禁されたこともなければ犯罪に手を染めたこともありません。
だけどキャラクターの行動や心理にはなぜか、共感や既視感を自分の中に見出してしまうのです。
そう思うと、私の心理は少し間違えば取り返しのつかないことになっていたのかもしれないと。
その少し間違っただけの物語が彼らなだけであって、私達は同じ人間なんだと感じさせられます。
彼らは架空の物語の、私達とは生きる世界が違う他人じゃない。
私が辿ったかもしれないifの姿、もしくはいつか出会う自分や友人の姿なんだと。
そう思わせる文章を綴る都志見先生の技術は本当に素晴らしく、私にとって都志見先生は神のような存在で、宗教的な意味で心酔し心はもうあなたに一生ついていきますと祈りを捧げたくなるほどです。
私がネヴァジスタの登場人物なら、都志見信仰ルートで真っ先に「ネヴァジスタ」へ連れて行かれていたことでしょう。
ちなみに私が履修済みの都志見先生の作品は
・図書館のネヴァジスタ
・THE FOOL
・四月の魚
・Nの食卓
・∞の悲劇
・夏休みのネヴァジスタ
・ネヴァジスタハニカム(プレイ中)
・図書館のネヴァジスタ再録短編集1.2
以上です。
全てネヴァジスタのキャラクターによるお話なのでこの順番に見ていくのがオススメですが、本編終了後に一番オススメしたいのは再録短編集の小説です。
本編の後日談や幕間劇の短編小説なんですが、数あるネヴァジスタコンテンツの中でも私が一番好きなシリーズです。
もちろん本編のゲームも素晴らしいのですが、小説として都志見先生の文章を読むのが一番好きなので、あまりの言葉選びや表現に感激し、一文読んでは発狂し、一文読んでは感動の溜息をついてベッドに倒れ込むほどの素晴らしい作品です。
私の棺桶には是非ともこの2冊を一緒に供養していただきたいです、いやホントに。

そんな都志見先生の作品と文章を、私ごときが真似事をしたところで、到底及ばないものだということは重々承知しております。
書いては絶望して消し、あまりの下手さに恥ずかしくなっては消し、都志見先生の文章を読んで感動してはあまりの遠さに心が折れそうになる日々です。
それでも、今私の脳内にある彼らの物語を、こうして描かずにはいられない。
そう想い今回の企画に挑みました。


長くなってしまいましたがもうひとつだけ。
私がこれから描く作品に、批判や否定の声もあることでしょう。
そりゃあそうでしょう。
今からあなたの推しを不幸にすると言っているのです。
「物を書く人間が、誰からも恨まれずに済むと思ってるのか」
津久井賢太郎の言葉です。
私はその覚悟を、文字を並べる者として少なからず持っているつもりです。
それは、全ての声を受け入れる覚悟ではなく、全てを背負ってでも筆を取る覚悟です。
誰からも賞賛を受けられるとは、これっぽっちも思っていません。
アクションを起こすのは、リアクションを欲しているから。
でなければ、手帳やノートに書いて大事に引き出しにしまっておけばいいのです。
でも私は、こうして電波を使って世の中に発信をしている。
あなたとこの物語を共有したいからです。
あなたに良い意味でも悪い意味でも、影響を与えたいんです。
批判でも、アンチでも構いません。
ひどい、可哀想、耐えられない、なんでもいいんです。
私の物語を体に入れて何か言葉が浮かんだのなら、どうか私にリアクションをいただけたらなと。
それがもしもあなたの人生を豊かにするものだとしたら、それ以上に嬉しいことはありません。
そしてどうか、最後までお付き合いいただけると光栄です。

そして感想は是非とも、本サイトの感想掲示板にお願い致します。
内容が全く同じものを両方のサイトにあげていくつもりですが、どうも昔のHPのほうが使い勝手がよく馴染みがあるので、皆さまからの感想を残すのは本サイトのほうがいいなぁと。
pixivはあくまで宣伝用と考えております。


長い前置きをここまで読んでくださり、ありがとうございました。
それでは最後に、ネヴァジスタ風の口上を締めの挨拶の代わりに、物語の始まりとさせていただきます。



ーーこれは、彼らの物語だ

物語の舞台は丘の上でもなければ
5人の高校生が住む幽霊棟でもない

それぞれの目的を果たす為
「アイドル」という生き方を選び
五線譜の上に集った12人の青年達の物語

私がそれを語るのには
きっと役不足が過ぎるのだろう

私には
ーー感動を煽る胸を打つ言葉や
共感を招く演出
もったいぶった間の取り方や
余韻を残す為のあざとい幕の閉じ方ーー
それを綴るどの技術も持ち合わせていない

どこかで聞いたことのあるような
ありきたりで、誰かの線をなぞったような
つまらない文章かもしれない

デタラメで、うるさくて
とてもじゃないけど聞いていられない
ひどいメロディーかもしれない

それでも、どうか綴らせてほしい

私にとって図書室のネヴァジスタは
今まで生きてきた過去の精算

アイドリッシュセブンは
これからの未来を生きる希望だ

その両方を手に入れた「今」だからこそ
語れる物語がある

彼らの人生に隠れている新しいページと
辿ることになったかもしれないifの結末を
この体中に溢れた音と言葉で
表現することを許してほしい

彼らを語る精一杯の言葉を
50音の文字の羅列と
鍵盤の上の12音の中から
死に物狂いで探させてほしい



ーーさて、それでは始めよう

五線譜上のネヴァジスタ

彼らがそう呼ぶのならーー




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