Book1

□パズル
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ミナside



『それ、面白いん??』



リビングでファンの方から貰ったパズルをしていたら、シャワーを浴び終えたモモりんがこちらにやってきた。




「うん、おもろいで。モモりんもやる??」

『こうゆうの苦手やから、いいや』



そう言ってソファに腰掛けて
私のパズルの動向を見守っている。



「ちょっと、そんな見られてると緊張するんやけど…」

『みーたん器用やなぁ』



モモりんから褒められると
なんだか嬉しい。

1人でパズルをしていた時より
スピードが速くすすんで、
残り3ピースうめるだけになった。



「…あれ」



残り3個あるはずなのに、
一つたりない。
どっかに落としちゃったのかな…。




『あれ、1つ足りんくない?』




私の様子を見ていた
モモりんも気づいたのか、
まじまじと完成真近のパズルを見ている。



「…部屋からもってくるとき、どっかに落としちゃったんかも…」



はぁ。

周りを探しても無い。
もう少しで完成するところだったのに。



『探してくる!』



諦めようとしていたら、
モモりんがソファから立ち上がって
パズルを探しに行った。


私も探したんだけど、
しばらくしても見つからないから
モモりんにもう大丈夫だよ、と伝えに行こうとしたら。



『いや、このベッドの下に落ちてるかもしれんから』



そう言って必死に探してくれていて。
どうしてこんな優しいんだろう、って他人事のように思ってしまう。



『あった!あったよ、みーたん!』



嬉しそうにピースを手にとって
私にはい、と渡してくれた。

もうパズルが完成する事よりも
モモりんが私のために
見つけてくれた事が嬉しくて。



「ありがとう!モモりんっ」



ぎゅっとハグをした。

これで完成できるね、
って笑うモモりん。



「…できた!」



リビングに戻って
モモりんが探してくれたピースをはめた。



『綺麗やなぁ、このパズル』



自分の事のように
嬉しそうにしてるモモりんに、
胸がトクン、となる。



「モモりんのおかげだよ、ありがとう」



私がそう言うと、
何もしてないけどなぁ、
なんて誤魔化すところも、
いちいちキュンとしちゃうじゃない。



「お礼に、今度アイス買ってくるね」



モモりんの好きなやつ、
と付け足すと
子供みたいに笑ってる。

そうかと思えば
思いついたように口を開くモモりん。



『買ってきてくれるのも嬉しいんやけど、一緒食べ行かん?』

「え??」

『みーたんとデートできる券!』




デート。
その言葉に顔が赤くなりそう。

よくみたらモモりんの顔も
少し赤くなっていて。



「そんなんでええの?…」

『みーたんとデートできるなら、なんでもええ』



恥ずかしそうに呟くモモりんと、
それ以上に照れてる私。



私たちの熱で
きっとアイスが溶けちゃうね。







END.
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