Red velvet

□psycho
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イェリside








「…イェリや、ヤァ、起きて」








ハッと目を覚ます。

何度も私の名前を呼んでいた声の主はそこには居ない。








『…夢?』








なんで私の夢に出てくるの?

どれだけ忘れたいって思ってるか
知らないの?








"好きかわからない"

"合わないのかもね、私達"








スルギおんにから言われた冷たい言葉。








"私ももう疲れた"

"おんに、真面目すぎるし。"







私が言った冷たい言葉。









「…じゃあ、さよならだね」









離れた時のことを思い出す。

昨日の事みたいに鮮明に残ってる嫌な記憶。







『…さよなら、って』








私だってもう懲り懲りだ。

離れた方がいいことくらい分かっている。






けれど、面と向かって
"さよなら"なんて言われると、
どうして否定したくなってしまうのだろう。







「…元気でね」








なんでおんにが泣きそうなの。





さよなら、
って言ったのはおんにじゃない。

喧嘩するといつも別れようって、
そう言うのはおんにの方じゃない。




なのになんで、おんにが泣くの。





突き放しといて、優しくしないでよ。








「…気をつけて帰ってね」







弱い顔のおんにを見たら、
また戻ってしまいそうになる。
抱きしめてしまいそうになる。







そんな私も、すごく弱いの。








『…またね、』








もう振り向かない、そう決めたのに
"さよなら"なんて言えない。








携帯をみると、
おんにからのメッセージ。








"元気にしてる?体には気をつけてね"

"お互い仕事頑張ろう"







付き合ってる時と変わらない優しさに
頭がクラクラする。






私達もう終わってるんだよ?








"久しぶり。元気だよ、おんにもね"








思いとは裏腹に
言うことを聞いてくれない私の指。








「…イェリ、好きだよ」


「…大好き」








悪いところを何個浮かべても、
合わない部分を何度思い返しても
私に囁いてくれた甘い言葉に、
暖かい優しさに、全て奪われてしまう。







おんにをやめられない。
何度でも奪い去ってほしいの。






バカみたいに、おんにから離れられない。








"イェリや、会いたい"







おんにもそうなの?








"私も、会いたい"








END.

◎カムバに感化されて作ったものです!
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