短編夢
□交わらない平行線
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「…あっ、仙蔵…」
「なんだ?…自分から誘っておいて
これくらいで達するなんて早すぎるだろう」
前戯を初めて早十数分後、布団を握り締めて今にも達しそうになるほどの快感に彼女が必死に耐える姿を見て、仙蔵はそう言う。
「そっ、んな…」
「ほら、イくならイけ」
「っ…あああっ!」
片手で胸の突起を摘まれ、もう片方の手は決して激しい動きではないのだが的確にイイ所のみを攻めており、仙蔵の手によって呆気なく達してしまった。
「…ん…はぁ…」
イったばかりで、肩で息をしていると待った無しとでも言うように口を塞がれる。
「…ん、」
絡め合う舌はいやらしく水音を立て、聴覚からも犯されているように感じた。
「……れい」
暫くして口を離したかと思えば突然呼ばれた名前に私は微笑む。
「仙蔵…欲しい」
彼が私の名を呼ぶ時、それは彼自身が私を本当に求めている時だと知っているから。
「…っ……はぁ」
「……んん!」
いつもすました顔をしている彼からは想像出来ない程のソレが今、私の中に入ってくる。
堪らず少し大きな声が漏れるが仙蔵本人も快感に溺れている為、いくら声を出そうが関係ない。この空間には私たちしかいないのだから。
「…ん……動く、ぞ」
「…うん」
全てが入ったかと思えば間髪入れずにそう言う仙蔵の首に抱きつき私は彼を受け入れる。
しなやかな腰つきとは裏腹に、腰を激しく打ち付けてくるその姿。
私はそれに見蕩れながらただ与えられる快感に身を委ねる。
「…私っ、ん…仙蔵のその余裕が無くなってる顔が、…堪らなくそそるの」
「…っ」
悪戯にわざとそこに力を入れれば、仙蔵はまた顔を少し歪めた。
「…そう言うれいはまだ、余裕そうだな
…その余裕も、…なくしてやろう」
「…ああっ!」
微かに妖しく笑ったかと思えば私の広げていた足を片方肩にかけ、そのまま私の奥深くをぐっと突く。
「っはぁ…っん!」
「無駄口を叩かず…
そうしてずっと…よがっていろ」
少しキツイ言い方なのはいつもの仙蔵である証拠。からかったことが気に触ったのかより動きが激しくなっていく。
「そ、こ…っ…だめ…!」
「何がダメなんだ…?…イイの間違いだろう」
「はっ…あぁ…」
動く度にグチュグチュと水音が響く中、私達はもうお互いしか見えていない。
そうして暫く腰を打ち付けられていくうちに、私は我慢も聞かなくなりすぐにでも達してしまいそうになる。
「…せんぞ……仙蔵…っ」
「…っ……れい…」
「も……イっ…く…」
「…私も…もう限界だ」
ラストスパートをかけるかのようにより深く…より強く打ち付けてくる腰に、声を荒らげながらも私の目はしっかりと彼の顔を捉える。
「…ねぇっ…仙、蔵…」
「…なんっだ…?」
動きは止めず聞き返す仙蔵に、私は笑って答える。
「んっ…気持ちい…ありがと…」
「……。……ふん…」
私の言葉を聞いてから一度眉をひそめたものの、仙蔵は軽く受け流してそのまま深く激しい口付けで返事をしてくれた。
「…んぅっ…んんんっ!」
「っ……!」
そして私達は口付けを交わしながらほぼ同時に…共に達した。
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