PEACE MAKER

□九龍球
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メリークリスマス!

って言えなくてごめんね。
大掃除、1人でやるのは大変なんだからさ、年賀状もまだ書いてないし。
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本当に送るつもりだった最初の1行を打ったのは数日前。
2行目が増えて、それすら送るタイミングを掴めなくて、独り言が加わって、最後はメモになって

それでもまだ紙飛行機のマークは押されないまま、どこにも飛んでいけない。

一緒に送ろうと思って可愛いスタンプだって買ったのになぁ…









なんでこんな年の瀬まで部活あるんだろ…好きで入った筈なんだけど流石にこんな日はパスしたい。
どうせ顧問の先生だってやりたくないでしょ?家で休みたいでしょ?ほらみんなで家でのんびりしよーぜー?

そう思うけれど「休みこそ鍛錬!」って大きな口開けて笑う顧問の声が聞こえてきそうでいつも通りの時間、いつも通りの服装で、家を出る。

寒いなぁと肩を縮めれば、姿勢が悪いと怒られる気がして、うぅ、と呻きながら無理やり姿勢を正す。


「花!!」

くぐり抜けた校門の向こうから声がする。

「おはよう鉄君。」
「おっきな欠伸だなぁ。」
「寒いし眠すぎる。」

むにゃりと続けて出そうになった欠伸を噛み殺して、右手でよっと挨拶をする。

「今日は部活出れんの?」
「いやぁ…それがさぁ…」

鉄君の言葉を遮るように2階の渡り廊下から不機嫌な声が飛んでくる。

「市村ァ!部活参加してぇんならとっとと来い。」
「あ、はい!」

やべぇっ、という顔で返事を返して困った表情をこちらに向ける。

「今日も補習か、お疲れさーん。」
「ちぇっ、花はいいよな、教えてくれる奴がいてさ。」
「いやいや鉄君も一緒に勉強したじゃん。」
「俺には教え方厳しーんだよ!土方先生もだけど。」
「はいはい。」
「俺部室寄らねーで行くからさ、これ置いといて!」


鉄君の分の竹刀を預かって、いってらっしゃーいと手を降る。


「それにしても小テストで補習ってどんな点数取ったの。」

去り際の鉄君に呆れた声で聞いてみる。

「最後の問題さ!分かんねーし腹減ってたからシュラスコって書いたらめっちゃ怒られたんだよ!」

そう言って教室棟へと消えていく背中を見ながら思わず小声でツッコむ。

「いやそれ食べるやつ。」

なんで理科の実験手順に出てくるんだ、そりゃ土方先生も怒るわ。

鉄君が書きたかったのはきっとフラスコ…いやそれでも不正解なんだけどさ。
透明な丸いカーブと似ても似つかないこんがり焼けたお肉を想像してお腹がぐぅとなる。

数日前の出来事を思い出した。
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